先代「695」と乗り比べ アバルト500e 長期テスト(5) 魅力はそのまま 未来感が凄い!
公開 : 2024.11.24 09:45
アバルト・フレーバーの効いた500e 高めの価格に目を引くスタイリング 公道での走りの興奮度はいかに? 本物の電動ホットハッチと呼べるのか、英国編集部が長期テストで確認
積算1万230km 先代の小さなアバルトと乗り比べ
アバルトは、2024年になってガソリンエンジンの695の生産を終了させた。英国では在庫がなくなり、販売も終わってしまった。
そのベースモデル、フィアット500が登場したのは2007年。英国の首相はゴードン・ブラウン氏で、リアーナが英国のヒットチャートを賑わせていた頃だ。AUTOCARが試乗記を掲載した時、筆者は小学校の6年生だった。
2024年までの間に、フィアット500は電気自動車へ切り替わっている。その時、ガソリンエンジンの500は、英国市場では最も発売の古い量産車になっていた。実際に運転してみれば、過ぎた時間を実感することも少なくなかった。
アバルト仕様が登場したのは2008年。これまでアップデートは繰り返されてきたが、前時代のモデルという雰囲気は拭えなかった。
新しいバッテリーEVのアバルト500eも、先代と同じく、ベースとするのはフィアット500eだ。電動アーキテクチャやデジタル技術、安全性が向上したボディなどは、基本的に共有している。小さくない価格差があることも、これまでと同じだ。
前回にも触れたが、改めて運転してみて、やはり印象はアバルト695とアバルト500eで似ている。今回お借りした前者にはセミATが載り、変速マナーは荒削り。後者はシングルスピードだが、スポーツ・モード時は不自然なギクシャク感がある。そんな弱点も。
乗り心地の悪い695 未来感が凄い500e
アバルト500eは、普段使いするならノーマル・モードがベスト。アクセルペダルを倒す右足は、優しく動かすのが良い。今回の695も、気張って運転すると変速が思い通りに進まず、ヤキモキしてしまった。
サスペンションには、2台とも引き締められたコイルスプリングが組まれている。特に695は、アスファルトの剥がれた穴を通過する度に、背骨へ振動を伝える。激しいノイズも車内へ響かせる。ストロークは短く、横断歩道のペイントの段差すら感じ取れる。
ステアリングは、旋回中に路面の凹凸で影響を受けがち。気張って走らせていると、不安定になることもしばしば。それが面白いのだが、ここまで乗り心地の悪いクルマは久しぶり。ダンパーが木の棒へ交換されていると聞いても、疑わないほどハードだ。
アバルト500eのサスペンションは、フィアット版と比べれば硬い。しかし695と比べれば、シトロエン並みにしなやかに思えてしまった。
インテリアやメカニズムの違いは大きい。4万ポンド(約776万円)前後のバッテリーEVとしては、アバルト500eの車内は比較的質素。インフォテインメント・システムはベーシックな内容で、急速充電も高速なわけではない。航続距離も長くはない。
ところが695と並べると、未来感が凄い。タッチモニターはアップル・カープレイに対応し、バックカメラも付いている。キーレスエントリーも。