マツダ、ロータリー・スポーツカーの市販を計画中 ロードスター後継「そう遠くない将来」に量産化へ
公開 : 2024.11.11 06:05
マツダがロータリーエンジン搭載スポーツカーを市販する意向であることを明らかにした。最高出力370psの「アイコニックSP」の量産バージョンが、近い将来ロードスターの後継車として導入される可能性がある。
アイコニックSP、ロータリー搭載EVとして発売か
マツダは、ロータリーエンジン搭載のスポーツカー・コンセプト「アイコニックSP(Iconic SP)」を近い将来に市販する意向を明らかにした。
昨年の『ジャパン・モビリティショー2023』で発表されたアイコニックSPは、ロードスターの流れを汲む未来型スポーツカーのビジョンを凝縮したもので、ロータリーエンジンを使って電気モーターの電力を生成する革新的なハイブリッド・パワートレインを搭載している。
コンセプトカーの発表当時、これがそのまま市販車となるのかどうかについて、マツダの経営陣は口を閉ざしていた。しかし今回、デザイン本部長の中山雅氏が、アイコニックSPを市販する意向であることを認めた。
「このコンセプトカーは単なるショーカーではない。そう遠くない将来に市販モデルにするという意図を持ってデザインされたものだ」と同氏は述べたが、発売時期については明言を避けた。
また、R&D戦略企画担当執行役員の佐賀尚人氏は、アイコニックSPは最終的なホモロゲーションも視野に入れてデザインされていると付け加えた。「開発プロセスでは、ドアやタイヤの位置から、車体の長さ、乗員の着座位置、視界まで、最終的な仕様に至るまで綿密なリサーチが行われた」
「マツダの未来へのコミットメント、特にサステイナビリティとロータリーエンジン技術の将来的な役割を示すクルマにしたいという思いが、よく表れている」
市販車にも同じハイブリッド・パワートレインが採用される可能性が高く、マツダはロータリーエンジンの拡張性、コンパクトなサイズ、合成燃料への適合性を高く評価している。
注目すべきは、マツダはすでにMX-30 R-EVというロータリーエンジン搭載のレンジエクステンダーEVを販売していることだ。通常のEVと同じく電気の力で走行するが、エンジンで駆動用バッテリーを充電し、航続距離を伸ばしている。
エンジンが秘める可能性
マツダは長い間、エンジン車を脱炭素化する手段として合成燃料の潜在的な利点に着目しており、製品ラインナップをEVへ移行することには慎重だ。
佐賀氏は、水素を含む持続可能な燃料でアイコニックSPを走らせることができれば、「未来のモビリティのための実現可能なソリューションを見つける競争で優位に立つことができる」と述べた。
マツダはこのコンセプトのパワートレインが、現在のガソリン車と比較して排出ガスを90%削減できる可能性があると推定している。また、排気ガスからCO2を回収するシステムの開発にも取り組んでおり、「マツダをさらに一歩進め、カーボン・ネガティブ・メーカーへと進化させることができる」としている。
マツダによれば、ロータリー式レンジエクステンダー・パワートレインはさまざまなレイアウトが可能であるため、最適な重量配分とパッケージングを実現でき、電動スポーツカーに適しているという。例えば、アイコニックSPではエンジンを車体中央寄りに低く配置することで、低重心化を図るとともに、伸びやかなシルエットを実現している。
アイコニックSPのボディサイズは、全長4180mm、全幅1850mm、全高1150mm、ホイールベース2590mmで、現行型ロードスターよりも少し大きく、アルピーヌA110に近い。
車両重量は1450kgで、最高出力370psを発生する。理論的にはこれまでのマツダの市販車の中でもかなり速いはずだ。
プロポーション、サイズ、パワートレイン、そしてパッケージングの巧みな組み合わせにより、「小型スポーツカーにどのような技術を搭載できるかということを、我々自身に示すコンセプト」になっていると、マツダの最高財務責任者(CFO)であるジェフリー・ガイトン氏はAUTOCARに語っている。
「このコンセプトカー自体は、次のロードスターや他のモデルなどを意図しているわけではない。ただし、もし反響が大きければ、ある程度の市場があるかもしれないという良い兆候だ」