【スポーツカーの宝庫!】S2000、ビート、CR-ZにS-MX!一代限りで終わってしまった名車たち:ホンダ編

公開 : 2024.11.12 12:15

ホンダ・アヴァンシア(1999~2003年)

初代アヴァンシアは四代目インスパイアをベースに開発された、ステーションワゴンタイプの国内専用車だ。初代とわざわざ書いたのは、二代目アヴァンシアも発売されたが、これは中国専用車だったから。ここでは一代きりのモデルとして紹介する。

ステーションワゴンタイプと記したが、アヴァンシアは一般的なセダンをベースにしたワゴンより若干背が高い(全長4700×全高1500mm/L、Vタイプ)。ホンダは『スタイル、パッケージング、走り、快適性のすべてに新しい価値を追求し、多様化するライフスタイルに対応できる上級車』として、アヴァンシアを提案。それを独創のスタイル『アーチキャビンフォルム』によって実現したという。

ホンダ・アヴァンシア(1999~2003年)
ホンダ・アヴァンシア(1999~2003年)    ホンダ

センターウォークスルー、ミニバン並みの高い室内高、高めのシート高、上質なインテリア、上級車にふさわしい静かな室内空間など、乗ればわかる価値が盛りだくさんだ。

エンジンは3.0LV6 VTEC(215ps)と2.3L直4 VTEC(150ps)の2種類で、トランスミッションはホンダ初のゲート式インパネシフト。V6エンジンのVタイプは、ホンダ初の5速ATを採用した。

ホンダの新しい試みから生まれたアヴァンシアであったが、日本では一代で販売を終了することになってしまった。同じホンダのアコード・ワゴンがライバルとなってしまい、販売的には成功しなかったようだ。

ホンダ・エアウェイブ(2005~2010年)

エアウェイブは初代フィットと同じホンダ・グローバルスモールプラットフォームを使う、5ナンバーサイズのコンパクトなステーションワゴンである。フィットよりずいぶんと大柄に見えるが、サイズは全長4350×全幅1695×全高1530mmで、ホイールベースはフィットより100mm延長した2550mm。フィットの全長が3830mmだから、これよりはかなり全長が長いことがわかる。

当時話題になったセンタータンクレイアウトも受け継いでいるから、エアウェイブの居住空間と荷室はかなり広い。

ホンダ・エアウェイブ(2005~2010年)
ホンダ・エアウェイブ(2005~2010年)    ホンダ

主観だが、走りも良かった。プラットフォームの素性の良さとボディ剛性の高さもあるし、ホイールベースが延長されているため、乗り心地はソフトだが操縦安定性は悪くない。ルーフのほぼ全面がガラスになるスカイルーフ仕様も存在し、開放感のあるドライブが楽しめたことも付け加えておく。

これも主観だが、エクステリアデザインではリアのオーバーハングが長すぎるのが、バランス的に残念だった。どの層に向けたのかわからないボディデザインも、販売的に損をしていると思えた。乗ればいいクルマだったのに……である。

エンジンは1.5L直4SOHC VTEC(110ps)で、トランスミッションはCVT。フィットに搭載された1.3Lの設定はなかったが、1.5Lの4WD車は用意されていた。

2011年にフィット・シャトルが発売され、エアウェイブは後継を譲る形になった。ちなみにフィット・シャトルの方が、エアウェイブよりデザインも走りもスポーティになっているのは、その反省が生かされたからだろうか?

記事に関わった人々

  • 執筆

    木原寛明

    Hiroaki Kihara

    1965年生まれ。玉川大学では体育会ノリの自動車工学研究部に所属し、まだ未舗装だった峠道を走りまくった。最初の愛車(本当は父のもの)は2代目プレリュード(5MT)。次がフルチューンのランサーEXターボ。卒業してレースの世界へと足を踏み入れたものの、フォーミュラまで乗って都合3年で挫折。26歳で自動車雑誌の編集部の門を叩き、紙時代の『AUTOCAR JAPAN』を経て、気が付けばこの業界に30年以上。そろそろオーバーホールが必要なお年頃ですが頑張ります!
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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