BYD、530馬力の電動SUV「シーライオン」欧州導入 LFPバッテリーと新プラットフォーム採用

公開 : 2024.11.11 18:05

BYDが新型EV「シーライオン7(海獅07)」の欧州仕様を公開した。航続距離500km、合計出力530psとパワフルで、高度な車内音声コントロール・システムを備える。

BYD、欧州に新型6車種を導入へ

BYDの新型EV「シーライオン7(Sealion 7 / 海獅07)」の欧州仕様の詳細が公開された。テスラモデルYなどのライバルとなるミドルサイズの電動SUVだ。

中国のBYDは、今後14か月間に欧州市場に6車種の新モデル(EV 3車種、PHEV 3車種)を投入する予定で、シーライオン7はそのうちの1台である。

BYDシーライオン7
BYDシーライオン7    AUTOCAR

欧州向けのモデルとして初めて、新開発のプラットフォーム「e-Platform 3.0 EVO」を採用していることが特徴だ。既存のアット3ドルフィンシールで使用されるe-Platform 3.0を発展させたバージョンとなる。

LFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーを搭載したセル・ツー・ボディ構造(バッテリーセルをシャシーに組み込む構造)を採用し、さまざまなモーター構成に対応できる。

エントリーグレードの「コンフォート」は、リアアクスルに最高出力312ps、最大トルク38.7kg-mのモーターを1基搭載する。82.5kWhのバッテリーにより、航続距離は最長480km。最も軽量なバリエーションで、車両重量は2225kg、0-100km/h加速は6.7秒とされる。

ミドルグレードの「デザイン」では、フロントアクスルに218psのモーターが追加されて四輪駆動となり、合計出力530ps、最大トルク70.3kg-mに向上する。モーターを追加したことで車重は2340kgに増加し、航続距離は455kmに短縮されるが、0-100km/h加速のタイムは4.5秒となる。

最上位グレードの「エクセレンス」は、同じ530psのパワートレインを使用するが、91.3kWhの大型バッテリーを搭載し、航続距離は最長502kmに伸びる。インテリアにはナッパレザーシートやヘッドアップディスプレイなどを装備し、車重は2435kg。それでも、0-100km/h加速をデザインと同じ4.5秒で達成することができる。

コンフォートとデザインの両グレードは、DC接続で最大150kWの充電が可能で、10〜80%の充電に32分かかる。エクセレンスは最大230kWにアップグレードされ、10〜80%の充電にかかる時間が24分に短縮される。

従来のファンヒーターよりも効率的にキャビンを温め、寒冷時の航続距離を伸ばすヒートポンプが全車に標準装備される。

インテリアでは、縦向きと横向きの回転が可能な15.6インチのインフォテインメント・タッチスクリーンが搭載され、新しい音声コントロール・システムを備えている。

この音声コントロール・システムは、車内の4つのゾーンから5人の乗員のうち誰が話しているかを検知し、その人が座っている場所に応じた調整を行うことができるという。例えば、後部座席の人が温度を下げるように指示すれば、後部座席のクライメートゾーンが調整される。

シーライオン7には、10.25インチのインストゥルメント・ディスプレイ、4つのUSBポート(前方に2つ、後方に2つ)、ビークル・ツー・ロード(外部給電)ソケットも装備されており、車載バッテリーから最大3.3kWの外部機器に電力を供給することができる。

トランク容量は、5人乗車時で520L、後部座席を倒した状態で最大1789Lとされている。

シーライオン7の欧州での納車は来年早々に開始される予定だ。価格はまだ発表されていないが、4万5695ポンド(約900万円)からのシールの上に位置づけられると予想される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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