【お勧めは4WD】インド生まれの侮れない日本車、スズキ・フロンクスに初乗り!

公開 : 2024.11.13 12:05  更新 : 2024.11.15 22:25

クーペスタイルのSUVとして発売したスズキ・フロンクスは、既に1万台を超える受注があり、好調な販売スタートとなっています。そんなフロンクスに内田俊一が初試乗。その第一印象をレポートします。

日本市場に合わせたセッティング

スズキはクーペスタイルのSUV、フロンクスの販売を開始した。既に1万台を超える受注があったというこのクルマのステアリングを短時間ながら握ることができたので、その第一印象をまとめたい。

フロンクスは、インドのグジャラート工場で生産しているスズキのグローバル戦略車で、日本、インドをはじめ世界70か国以上で販売している。

フロンクスは、インドのグジャラート工場で生産しているスズキのグローバル戦略車(写真は2WD)。
フロンクスは、インドのグジャラート工場で生産しているスズキのグローバル戦略車(写真は2WD)。    内田俊一

スズキがインドで生産をして日本で販売したモデルに、2016年から2020年まで販売をしてきたバレーノがある。日本での販売終了後もインドや中南米、中近東などで販売は継続。2022年にフルモデルチェンジを行い2代目に進化。そのプラットフォームを共用したのがフロンクスだ。

「もともと初代バレーノをSUVにしたら格好良いのではないかという構想がありました。そこで2代目の開発がスタートしたときに、バレーノ・サイズの使いやすさとSUVライクなデザインをまとったフロンクスの企画がスタートしました」と話すのは、開発責任者の森田祐司さんだ。

そのうえで、過去のバレーノの反省を踏まえ、日本向けに安心、安全装備を充実させた。特に4WDは、「日本は積雪地域が多いので、安心して乗ることができる4WDが必要」と専用開発した。

同時にサスペンションも、「インドは荒れた道やかまぼこ状のスピードブレーカーがあるので、少しいなしながら走るようなセッティング。日本は、平坦な道をきれいにスムーズにまっすぐに、僅か数センチの橋の段差などを丸くいなしながら走るという考え方でセットしています」と、環境に応じてショックアブソーバーの減衰力等を変えているとのことだった。

エンジンスペックの差は?

早速ステアリングを握ってみたいところだが、その前にどうしても気になることがあった。それは2WDと4WDでエンジンの出力とトルクの値がわずかだが違うのだ。具体的には2WDは101ps/6000rpm、135Nm/4400rpmであるのに対し、4WDは99ps/6000rpm、134Nm/4400rpmだ。

これについてドライブトレイン等を開発したうちのひとり、光澤尚晃さんによると、「4WD化により排気管の取り回しが変わったので、少し抵抗が生まれてしまいました」とのこと。ここから最初に2WDが開発されたことが伺えたが、もちろん走行時に差異を感じることはなかったことを付け加えておく。

実は2WDと4WDでエンジンの出力とトルクの値がわずかだが違う。
実は2WDと4WDでエンジンの出力とトルクの値がわずかだが違う。    内田俊一

さて、エンジンをスタートさせ走り出してみると、まずその静粛性の高さに驚かされた。試乗時は雨が降っていたのだが、それを跳ね上げタイヤハウス内にあたる音もほとんど気にはならない。

ゆっくりアクセルペダルを踏み込んでいくと、街中ではおよそ2000回転でどんどんシフトアップし、燃費優先のセッティングであることが分かる。一方、しっかりとアクセルペダルを踏み込めば、レッドゾーンの始まる6300回転までスムーズに、トルクやパワーが垂れることなく回ってくれるので、とても素直なエンジンといえる。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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