エンジン載せ替えは珍しくない MGミジェット/オースチン・ヒーレー・スプライト UK版中古車ガイド(2)

公開 : 2024.11.30 17:46

ライトウエイト・スポーツの魅力へ浸れるオースチン・ヒーレー・スプライトと、その兄弟 合計35万台以上を生産 錆びは避けられない エンジン載せ替えは珍しくない 英編集部が魅力を振り返る

錆びは避けられない 年式に一致しない部品も

英国車初のモノコックボディ・スポーツカーとして、支持を集めたオースチンヒーレー・スプライトとMGミジェット。最も新しい個体でも40年以上が経過しており、各部の錆びは避けられない。

中古車を選ぶ際は、磁石を養生してボディに当てて、パテが厚く盛られていないか確かめたい。下回りの観察も欠かせない。

MGミジェット(1961〜1980年/英国仕様)
MGミジェット(1961〜1980年/英国仕様)

生産期間が長く、交換された部品が年式相応なのかもチェックポイント。安価に取引されていた時代には、とりあえずという感覚で、手軽に入手できる部品で代用していたオーナーは少なくない。

残存例の殆どは、エンジンがリビルドされているか載せ替えられている。番号の不一致は珍しくないが、どんなユニットが載っているのか理解はしておきたい。

後期型のトライアンフ用1.5エンジンへ、アップグレードされている例も多い。稀に初期型では、モーリス・マイナー用のユニットへ置換されていることも。

Aシリーズ・エンジンのシリンダーヘッドは、無鉛ガソリン仕様の場合、バルブシートが劣化しがち。タペットのクリアランスが狭くなり、パワーが落ちてしまう。バルブシートも含めたヘッド交換には、500ポンド(約10万円)ほど必要になる。

モデル後期の1.5Lトライアンフ・ユニットでは、バルブシートの心配は不要。一方でエンジンオイル交換を怠ると、クランクシャフトを支えるベアリングが摩耗してしまう。症状が悪化すると、エンジンブロックの亀裂も招く。

改造された例は多い 好条件の個体は減少

新車時からチューニングキットが提供されており、スーパーチャージャーで高出力化された例もある。当時物のアップグレード部品は価値を高める一方で、異なる年代や現代の部品では、運転は楽しくなっても、価値を下げることもある。

5速MTへ載せ替えると、長距離クルージングの快適性が改善される。回転数も抑えられるため、エンジンの内部摩耗も抑制できる。トライアンフ・スピットファイア用のオーバードライブMTは、加工すれば1.5Lのミジェットにも搭載可能だ。

MGミジェット(1961〜1980年/英国仕様)
MGミジェット(1961〜1980年/英国仕様)

ブレーキやサスペンションのチューニングも珍しくない。ただし、オリジナルでも役不足ということはなかった。適切なメンテナンスを施せば、公道での積極的な走りをしっかり受け止めてくれるはず。

ブリティッシュ・スポーツの名車として、AUTOCARではしばしばご紹介してきた。最近の傾向としては、フルレストアされる個体は数が減ってきているという。

オリジナル部品の再生産をしているブリティッシュ・モーター・ヘリテージ社によると、ミジェットのボディシェルは、近年殆ど売れていないとか。1台あたり1万3320ポンド(約258万円)で、驚くほど高価ではないのだが。

中古車として比較的手頃な価格で流通しており、クロームメッキ・バンパーのモデルとポリウレタン・バンパーのモデルとの価格差は縮小傾向にある。英国では部品が入手しやすい状態にあるが、品質は高くなく、価格は上昇基調にあるようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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