エンジン載せ替えは珍しくない MGミジェット/オースチン・ヒーレー・スプライト UK版中古車ガイド(2)
公開 : 2024.11.30 17:46
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
年式に合ったエンジンが載っているか、まず確認したい。エンジンオイルやラジエータークーラントの漏れ、内部ベアリングやタイミングチェーンの異音、バルブシートの状態やオーバーヒートの痕跡がないか調べる。
初期のAシリーズ・エンジンは、摩耗が進むと振動や異音、不安定な回転などの症状が出てくる。基本的にはシンプルで堅牢だ。
MGミジェットの1.5L版では、クランクエンド・フロートも要確認。クランクスラスト・ワッシャーが駄目になることも。クラッチを踏んで、フロントプーリーが動かないか観察する。
ボディ
フロントノーズやフェンダー、ボンネットのエッジやキャッチ部分、ピラー、フロアの前方、サイドシルの内外、ジャッキアップ・ポイント、ドア底面などはお決まりのチェックポイント。リアアクスル側のボックスフロアや、シャシーレッグも錆びやすい。
ボディ表面は滑らかで、ボンネットやパネル類の隙間が整っているのが正常。不自然な波打ちなどは、好状態ならない。荷室のフロアも、丁寧に確認したい。
ソフトトップの亀裂やヒビ、開閉の滑らかさ、フロントガラスやサイドウインドウとのフィット感を確かめる。現代のモデルほどではないが、綺麗に閉まるはず。
トランスミッション
変速時にギアの回転数を調整するシンクロメッシュの具合や、走行中にギアが抜けないか、試乗で確かめる。リビルドされたAシリーズ・トランスミッションでも、寿命が短い場合がある。
ブレーキとサスペンション
ブレーキは、頼もしく効くのが正常。ディスクではキャリパー、ドラムではホイールシリンダーの固着に注意したい。
サスペンションは、リーフスプリングを固定するトラニオンや、キングピン、ウイッシュボーンの状態を観察する。ショックアブソーバーやブッシュ類のヘタリも想定できる。フロントサスペンションは、こまめな注油が不可欠。
インテリア
内装が年式に合った状態か、欠品がないかなどを観察したい。
MGミジェット/オースチン・ヒーレー・スプライトのまとめ
シャシー番号とエンジン番号が生産時と一致する、完全なオリジナル状態にあるMGミジェットやオースチン・ヒーレー・スプライトは、驚くような金額で取引される。しかし、エンジン交換された例が珍しくなく、それなら価格は現実的といえる。
何より重視したいのは、現在の状態と仕様。Aシリーズ・エンジンで最も扱いやすいのは1275ccだが、948ccユニットも初期型であるという魅力と、気持ちの良い回転で人気が高い。トライアンフの1.5Lユニットはパワフルで乗りやすく、価値も高い。
良いトコロ
英国では部品の入手が難しくなく、MGやオースチン・ヒーレーを得意とするガレージで、丁寧にメンテナンスされてきた個体が多い。部品は比較的安価に入手でき、スポーツカーとしてコスパに優れる。
良くないトコロ
売買価格が現実的なだけに、フルレストアしても元が取れないため、最近は良好な状態の例が減りつつある。大きな事故歴があるものには注意したい。
オースチン・ヒーレー・スプライト(1958〜1971年)/MGミジェット(1961〜1980年/英国仕様)のスペック
英国価格:724ポンド(スプライト/1968年時)/736ポンド(ミジェット/1968年時)
生産数:12万9347台(スプライト)/22万4817台(ミジェット)
全長:3455-3581mm
全幅:1346-1435mm
全高:1226-1264mm
最高速度:133-160km/h
0-97km/h加速:11.9〜20.5秒
燃費:9.6-14.2km/L
CO2排出量:−
車両重量:665-805kg
パワートレイン:直列4気筒948・1098・1275・1493cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:43ps/5200rpm-65ps/5500rpm
最大トルク:7.1kg-m/3300rpm-10.6kg-m/3000rpm
ギアボックス:4速マニュアル(後輪駆動)