エンジン載せ替えは珍しくない MGミジェット/オースチン・ヒーレー・スプライト UK版中古車ガイド(2)

公開 : 2024.11.30 17:46

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

年式に合ったエンジンが載っているか、まず確認したい。エンジンオイルやラジエータークーラントの漏れ、内部ベアリングやタイミングチェーンの異音、バルブシートの状態やオーバーヒートの痕跡がないか調べる。

初期のAシリーズ・エンジンは、摩耗が進むと振動や異音、不安定な回転などの症状が出てくる。基本的にはシンプルで堅牢だ。

MGミジェット(1961〜1980年/英国仕様)
MGミジェット(1961〜1980年/英国仕様)

MGミジェットの1.5L版では、クランクエンド・フロートも要確認。クランクスラスト・ワッシャーが駄目になることも。クラッチを踏んで、フロントプーリーが動かないか観察する。

ボディ

フロントノーズやフェンダー、ボンネットのエッジやキャッチ部分、ピラー、フロアの前方、サイドシルの内外、ジャッキアップ・ポイント、ドア底面などはお決まりのチェックポイント。リアアクスル側のボックスフロアや、シャシーレッグも錆びやすい。

ボディ表面は滑らかで、ボンネットやパネル類の隙間が整っているのが正常。不自然な波打ちなどは、好状態ならない。荷室のフロアも、丁寧に確認したい。

ソフトトップの亀裂やヒビ、開閉の滑らかさ、フロントガラスやサイドウインドウとのフィット感を確かめる。現代のモデルほどではないが、綺麗に閉まるはず。

トランスミッション

変速時にギアの回転数を調整するシンクロメッシュの具合や、走行中にギアが抜けないか、試乗で確かめる。リビルドされたAシリーズ・トランスミッションでも、寿命が短い場合がある。

ブレーキとサスペンション

ブレーキは、頼もしく効くのが正常。ディスクではキャリパー、ドラムではホイールシリンダーの固着に注意したい。

サスペンションは、リーフスプリングを固定するトラニオンや、キングピン、ウイッシュボーンの状態を観察する。ショックアブソーバーやブッシュ類のヘタリも想定できる。フロントサスペンションは、こまめな注油が不可欠。

インテリア

内装が年式に合った状態か、欠品がないかなどを観察したい。

MGミジェット/オースチンヒーレー・スプライトのまとめ

シャシー番号とエンジン番号が生産時と一致する、完全なオリジナル状態にあるMGミジェットやオースチン・ヒーレー・スプライトは、驚くような金額で取引される。しかし、エンジン交換された例が珍しくなく、それなら価格は現実的といえる。

何より重視したいのは、現在の状態と仕様。Aシリーズ・エンジンで最も扱いやすいのは1275ccだが、948ccユニットも初期型であるという魅力と、気持ちの良い回転で人気が高い。トライアンフの1.5Lユニットはパワフルで乗りやすく、価値も高い。

良いトコロ

MGミジェット(1961〜1980年/英国仕様)
MGミジェット(1961〜1980年/英国仕様)

英国では部品の入手が難しくなく、MGやオースチン・ヒーレーを得意とするガレージで、丁寧にメンテナンスされてきた個体が多い。部品は比較的安価に入手でき、スポーツカーとしてコスパに優れる。

良くないトコロ

売買価格が現実的なだけに、フルレストアしても元が取れないため、最近は良好な状態の例が減りつつある。大きな事故歴があるものには注意したい。

オースチン・ヒーレー・スプライト(1958〜1971年)/MGミジェット(1961〜1980年/英国仕様)のスペック

英国価格:724ポンド(スプライト/1968年時)/736ポンド(ミジェット/1968年時)
生産数:12万9347台(スプライト)/22万4817台(ミジェット)
全長:3455-3581mm
全幅:1346-1435mm
全高:1226-1264mm
最高速度:133-160km/h
0-97km/h加速:11.9〜20.5秒
燃費:9.6-14.2km/L
CO2排出量:−
車両重量:665-805kg
パワートレイン:直列4気筒948・1098・1275・1493cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:43ps/5200rpm-65ps/5500rpm
最大トルク:7.1kg-m/3300rpm-10.6kg-m/3000rpm
ギアボックス:4速マニュアル(後輪駆動)

MGミジェット(1961〜1980年/英国仕様)
MGミジェット(1961〜1980年/英国仕様)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

MGミジェット/オースチン・ヒーレー・スプライト UK版中古車ガイドの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事