【実際に購入 オーナーのレポート・番外編】EV歴13年のリーフ・オーナーが600eに試乗

公開 : 2024.11.14 07:05

600eの特徴と魅力ポイント

600eには、航続距離以外にも多くの人を魅了するものがあります。デザイン・内装はお洒落で可愛くて、クルマを見てすぐに一目惚れ。タイプも日産リーフと同じハッチバックだったので、このまま乗って帰りたくなりました。また、最近の輸入車はディスプレイの中に機能スイッチのあるものが増えていますが、この600eのエアコンの操作などは、従来と同じ外部スイッチになっており、安心して使える印象を受けました。

パワーステアリングは快適なハンドリングができるよう調整されており、車庫入れなどがやりやすく、走行時の安定性も良くて、高級車であることを感じました。また、運転席シート、後方のハッチバック扉、サイドブレーキも、日産リーフとは違い電動化されており、ひとクラス上の車格の仕様になっています。

そのまま乗って帰りたくなるかわいさ。細部の設えも、ひとクラス上の車格感だ。
そのまま乗って帰りたくなるかわいさ。細部の設えも、ひとクラス上の車格感だ。    小林薫

地デジやDVDプレーヤーなど、AV機器も重要ですが、この600eではディーラーオプションとして装備することが可能。HDMI接続となるので、画質は良いことが期待できます。もともと6スピーカーのオーディオが標準仕様となっており、音質もなかなか良かったです。

急速充電に対してはCHAdeMO対応となっており、500eでは必要だった接続アダプターは不要で、利便性が向上しています。

D/B切替がシフトレバーでない

このように多くの魅力ある600eですが、どうしても納得できないポイントも、残念ながらありました。回生ブレーキの強さを切り替えるのが、前面パネルの下にあるD/Bスイッチであり、通常のシフトレバーではないことです。

このスイッチは運転ポジションでは手が届かないため、体を前にしないとタッチできなくて、シフトレバーのように運転中に頻繁に操作することは難しくなります。回生ブレーキはエンジンブレーキと同じで、交差点での停止、車間距離の調節、下り坂での制動などに使うものであり、運転ポジションのまま操作できないことは、あっても実際に利用できないのと同じになってしまいます。

D/Bスイッチの位置だけが、どうしても納得できない唯一にして最大の残念ポイント。
D/Bスイッチの位置だけが、どうしても納得できない唯一にして最大の残念ポイント。    小林薫

600eではシフトレバーの位置にECO/SPORTモードとの切り替えスイッチがありますが、ここをD/Bスイッチと入れ替えれば、手の届くことになります。なぜそうでないのか理解できず、不思議な感じすらします。

日産リーフのD/Bモード切換えは、バックのRレンジやニュートラルも含めた丸形のシフトレバーになっています。ニュートラルでは、回生ブレーキの全くない滑空するような走りになるので、遠出の時に上手く使うと電費を伸ばすこともできます。

私は日産リーフを13年前に購入し3台目になりますが、このシフトレバーによる回生ブレーキの操作で街中でも快適にEVを楽しめていると言っても過言ではありません。ただ、遠乗りではその操作の使用頻度は低く、それほど重要ではないと思われます。また、エンジンブレーキを普段使う習慣のない人はフットブレーキを使えば良いことなので、さして問題にはならないのかもしれません。

これまで試乗したBYDボルボのEVでも、運転ポジションで使えるシフトレバーではなく、D/B切替スイッチによる操作になっていました。特定のメーカーがコストやデザイン優先などの理由でシフトレバーをなくすのは理解できます。しかし、もし世界の多くのメーカーがそのような方向にいくのであれば、EV運転の楽しさや面白さを奪われることになり、実用性に問題ないとしてもとても残念に感じてしまいます。

このような状況で、600eを現行日産リーフZE1型の後継として考えていましたが、現在、購入するまでには至っていません。フィアット甲府の店長さんからは、もうしばらく試乗してみてはいかがですかという提案を頂いており、悩ましい日々は続きます。

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    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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