驚くほどの速さ+日常生活への順能力 フォルクスワーゲン・ゴルフ Rへ試乗 高訴求力なホットハッチ
公開 : 2024.12.19 19:05
素晴らしいステアリング 容易なライン調整
サーキットの走行会を楽しむなら、最もシリアスなRモードがベター。しかし、それ以外のモードは公道へ見事に対応する。気分に応じて、シリアスからマイルドまで、走りの特性を選べる。
日常的な速度域では、ゴルフ Rの操縦性はやや一面的。直線加速は、ポルシェ718ケイマンを引き離せるほど鋭いが、基本的には冷静沈着といえる。だがそこから1歩踏み出すと、自然な重み付けとレシオが与えられた、ステアリングの素晴らしさが見えてくる。
手のひらには、接地感を察するのに不満ないフィードバックが伝わる。グリップ力に優れ、鋭く回頭させつつ、ニュートラルなスタンスでカーブを抜けていける。
四輪駆動でありながら、アクセルペダルの加減でライン調整も可能。フェイスリフトで改良を受けたことで、コーナリング中にパワーを加えていくと、従来以上に積極的にラインが内側へ絞られていく。気象条件が優れない夜でも頼もしい。
更なる刺激を求める人には、オプションでアクラポビッチ社製のマフラーが用意されている。19インチの鍛造アルミホイールも選べ、1本当たり約2kgもバネ下重量を削減できるそうだ。
驚くほどの速さと日常生活への順能力
最高のエンターテインメント・マシンとは呼べないとしても、ゴルフ Rの対応力の高さには唸らされる。楽しみたい時は思い切り振り回せ、遠くを目指す時は安楽に飛ばせ、実用性も高いまま。極めて訴求力に長けたホットハッチだといえる。
このクラスでは、運転体験の魅力度と実用性の高さで、ホンダ・シビック・タイプRという王者がいる。それでも、驚くほどの速さと日常生活へ溶け込める能力は、ゴルフ Rの大きなストロングポイントだ。
沢山の荷物を運びたい、という要望にも見事に応える。ゴルフ Rなら、ステーションワゴンのバリアントも選べるのだから。
◯:誰でも簡単に超高速移動が可能 四輪駆動の安心感 従来以上のドライバーとの一体感 使いやすくなったインフォテインメント・システム
△:高速域では改善されるが、低速域で乗り心地が悪い 価格に見合わないインテリア 扱いにくいステアリングホイールのタッチセンサー
フォルクスワーゲン・ゴルフ R ブラックエディション(英国仕様)のスペック
英国価格:4万5145ポンド(約880万円)
全長:4290mm
全幅:1789mm
全高:1458mm
最高速度:270km/h(オプション設定時)
0-100km/h加速:4.6秒
燃費:12.3km/L
CO2排出量:185g/km
車両重量:1548kg
パワートレイン:直列4気筒1984cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:332ps/5600-6500rpm
最大トルク:42.7kg-m/2100-5500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(四輪駆動)