ニュル「7分37秒」切り アウディRS Q8 パフォーマンスへ試乗 RSシリーズ最強の640ps!

公開 : 2024.11.27 19:05

容赦ないパワー 圧巻の安定性と敏捷性

さて、予習はこのくらいにしておこう。2基のターボで過給されるV8エンジンは、2000rpmを超えると容赦ないパワーを繰り出す。ダイナミック・モードを選ぶと、極太のテールパイプから轟音が放たれる。アクセルオフ時には、破裂音も混ざる。

RS Q8 パフォーマンスでは、0-100km/h加速3.6秒。最高速度は、リミッター解除で280km/hに届く。実際、この数字を疑わないほど速い。パワフルなバッテリーEVに迫るほどだが、ドロドロ・バリバリと、凄まじい燃焼音でも楽しませてくれる。

アウディRS Q8 クワトロ・パフォーマンス(欧州仕様)
アウディRS Q8 クワトロ・パフォーマンス(欧州仕様)

試乗車には、オプションのカーボンセラミック・ブレーキが組まれていた。踏み始めはやや感触が薄いものの、さらに踏み込めば強力な制動力が発揮され、フェードフリー。8速ATは、若干ギクシャクする場面があった。

速さ以上に圧巻なのが、安定性の高さ。ステアリングの感触や繊細さは、僅かに物足りないものの、適度な重み付けがあり、反応は明確にクイック。不安感なく、巨体をコーナーへ飛び込ませていける。

特に後輪操舵システムは効果的。リアタイヤを素早く制御し、アンダーステアを抑え込み、不可能にすら思える敏捷さを実現している。旋回時のグリップ力にも驚かされる。

アンチロール機能がボディをフラットに保ち、鋭い旋回性をアシスト。さらに、トルクベクタリング機能と四輪駆動のトラクションが相乗し、カーブの出口では早期に脱出加速へ移せる。

大きなボディと軽くない車重は隠せない

ドライブモードは複数用意されるが、各項目を任意にも設定でき、ステアリングホイール上のRSボタンへ登録できる。確かに、電子システムが一生懸命働いている様子が伝わってくる。だが、ホットハッチのような身のこなしには、驚きを禁じえない。

エアサスを1番ソフトにしても、乗り心地は硬めながら、プレミアムSUVだと実感できる洗練度は備わる。カーブで飛ばしても、路面の小さな凹凸に影響を受けることはない。大きなボディと軽くない車重を、忘れさせることはないが。

アウディRS Q8 クワトロ・パフォーマンス(欧州仕様)
アウディRS Q8 クワトロ・パフォーマンス(欧州仕様)

燃費は、カタログ値で7.8km/L。穏やかに公道を走らせれば、実際にも7.0km/L程度は得られるようだ。

RS Q8 パフォーマンスの英国価格は、13万5550ポンド(約2643万円)から。通常のRS Q8より約1万5000ポンド(約293万円)高くなる。動的能力は向上しているが、それ見に合う価値を感じるかどうかは、人によって異なるだろう。

パッケージ・オプションは複数設定。23インチ・ホイールとOLEDヘッドライト、カーボン・トリムを得られるカーボンブラック・トリムや、後方の運転支援システムが充実し、ガラスルーフを得る、カーボンプロジェクション・トリムなどがある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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