クライスラー・クロスファイア

クライスラーとダイムラーが手を組んでいた頃に開発されたクロスファイアは、2016年に生産中止となったメルセデス・ベンツSLKクラスの親戚だ。SLKと同じくドイツで生産されたが、非常にアメリカンなスタイリングを特徴としている。

米国での年間販売台数は、最初の数年間こそ1万5000台を維持したが、その後急速に落ち込んだ。ライバルの日産350Zの方がパワフルで、はるかに人気が高かった。ダイムラーとの提携の失敗と2008年のリーマン・ショックにより、クライスラーは製品ラインナップを整理せざるを得なくなり、クロスファイアは他の不採算車とともに廃止されてしまった。

クライスラー・クロスファイア
クライスラー・クロスファイア

クライスラーTC by マセラティ

1990年頃、クライスラーがブランドイメージアップのためにマセラティと共同開発したコンバーチブルモデル。イタリアで生産されたが、販売台数は数千台と低調なものだった(最盛期でも年間3298台とされる)。GMの最高級モデルでありながら誰からも見向きもされなかったキャデラック・アランテに匹敵する悲運である。

問題の1つは、ベース価格が3万ドルを超えていたことで、消費者からは価格不相応と見られてしまった。クライスラーを率いていたボブ・ルッツ氏は、クライスラーTC by マセラティの開発費用を6億ドル(現在の価値で約13億ドル/約2000億円)と見積もっており、これをカバーするにはあまりにも力不足だった。

クライスラーTC by マセラティ
クライスラーTC by マセラティ

デロリアンDMC-12

主に米国で販売される予定だったデロリアンDMC-12だが、英国政府から多額の支援を得て北アイルランドで生産されることになった。見た目は素晴らしいが、ルノー製の2.7L V6エンジンは非力で、品質上の問題も多かった。デロリアン社の倒産により、北アイルランドでの生産はすぐに幕を閉じた。

米国で販売されたのは7000台にも満たず、そのうち1000台ほどは会社の倒産後に販売されたものだ。1985年公開のあるSF映画のおかげで、現存する車両はカルト的な人気を獲得している。

デロリアンDMC-12
デロリアンDMC-12

フィアット124スパイダー

124スパイダーはマツダロードスターの親戚で、ともに広島で生産され、フィアットのターボエンジンを搭載している。米国の自動車業界では、新車がディーラーに到着してから顧客が決まるまでの最適な期間は60日と考えられている。それ以下は供給不足、それ以上は需要不足を意味する。

2019年、フィアット124スパイダーのこの期間は461日であることが明らかになった。つまり、1年以上も買い手がつかないのが当たり前という状況だ。米国人は全体的にこのクルマに興味がなく、年間販売台数4500台を超えることはなかった。欧州ではそれよりもはるかに多く、2度にわたって7500台を超えた。

フィアット124スパイダー
フィアット124スパイダー

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事