ルノーとアルピーヌのダブルネームを持つアルカナ【新米編集長コラム#8】

公開 : 2024.11.18 11:05  更新 : 2024.11.18 12:14

8月1日よりAUTOCAR JAPAN編集長に就任したヒライによる、新米編集長コラムです。編集部のこと、その時思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第8回は先日発売された、『ルノー・アルカナ・エスプリ・アルピーヌ』の話です。

うわ~この組み合わせできたか

どんな業界でもダブルネームで登場する新製品があり、小さなものから大きなものまで、両方が好きな場合、かなり購買意欲が注がれることになる。「うわ~この組み合わせできたか! そりゃ買うしかないよなぁ」と。ヒライ的に近年で一番欲しいと思ったのは、『アバルト695トリブート・フェラーリ』だ。

近年……と書いて気になり改めて調べてみたら、2009年のフランクフルト・ショーで発表で、既に15年も前のことであった。ならばと、もっと遡れば、フェラーリV8エンジンを搭載する『ランチア・テーマ8.32』にトドメを指す。

ルノー・アルカナ・エスプリ・アルピーヌのボディサイドに、アルピーヌのエンブレム。
ルノーアルカナ・エスプリ・アルピーヌのボディサイドに、アルピーヌのエンブレム。    平井大介

約20年ランチア・オーナーで、約13年フェラーリ専門誌の編集長を務めたヒライにとって、『ランチア+フェラーリ』の8.32こそ、究極の1台だ。実は昨年末に某取材で後期型を試乗しすっかりその虜となってしまい、某所まで(取材車とは別の)販売車両を見にいったほどだ。それをなぜ購入しなかったかは、また前置きが長くなってきたので割愛する。

というわけで、今回のお題は『ルノー+アルピーヌ』のダブルネームとなった、『ルノー・アルカナ・エスプリ・アルピーヌ』の話だ。ちなみになんで『ルノー・サンク・アルピーヌ』じゃなくて、ランチアやフェラーリの話なのよ、という突っ込みもあるかとは思うが、これ以上脱線できない(それだけで第8回が終わってしまう)ので、稿を先に進めたい。

ルノーもアルピーヌも、個人的にかなり思い入れのあるブランドだ。ルノーは、2代目メガーヌR.S.が新車の頃、前期型も後期型も長期レポートを連載し、それをきっかけに多くの取材を担当させていただいた。アルピーヌは、『スクランブル・アーカイブ・シリーズ』でなんと3冊もムック製作を担当した。聖地フランス・ディエップのアルピーヌ生産工場も実際に訪れており、アルピーヌA110は、相当の距離を乗ってきている。

というわけで、ルノー・スポール(R.S.)を引き継ぐ形で、F1を筆頭としたルノー・グループのスポーツ部門を一手に率いることになったアルピーヌ、その名前を冠したスポーツトリムが『エスプリ・アルピーヌ』として登場し、今回初めて日本に導入されたのだ。これはヒライにとって、ただ事ではない話なのである。

アルカナが受け入れられた理由

今回エスプリ・アルピーヌが日本に導入されたのは、アルカナのマイナーチェンジに合わせてだ。アルカナは2020年10月の発表から今年の6月まで世界で約29万台が販売され、日本でも2022年5月から今年の8月まで約2000台が販売された、ルノーで新しい中核モデルに育ちつつある1台である。

日本でアルカナが受け入れられ理由として、ルノー・ジャポンは以下の5つを挙げている。
・エレガントかつスポーティで個性的なデザイン
・輸入車SUV唯一のフルハイブリッドによる低燃費
・運転の楽しさ
・室内と荷室の広さ
・プレミアム感

日本に導入された『ルノー・アルカナ・エスプリ・アルピーヌ』。写真のモデルはE-TECH。
日本に導入された『ルノー・アルカナ・エスプリ・アルピーヌ』。写真のモデルはE-TECH。    平井大介

確かにクーペSUVといえるスタイリングは時流にあっていて、しかもこの価格帯では初登場だったのが、欧州でも日本でも好評の理由と分析されている。またルノー独自の『E-TECH』と呼ばれるフルハイブリッドは、WLTCモード燃費が22.8km/hであったことも、購入者たちの背中を押した。他の3点は主観や何と比較するかで変わってくる部分ではあるが、私が抱いている印象とかけ離れてはいない。

そこで登場したマイチェン版アルカナの日本仕様だが、今回は全モデルで『エスプリ・アルピーヌ』のトリムを採用。グレードはE-TECH(1.6L直4NA+モーターのフルハイブリッド/価格499万円)とマイルドハイブリッド(1.3L直4ターボ/459万円)の2車種だ。

アルカナ自体は、エンブレムが3Dから2Dのデザインに変更され、それに合わせて前後のデザインをリフレッシュ。室内のタッチスクリーンが7インチの横型から9.3インチの縦型に変更されるなどしている。またタイヤサイズが18から19インチに変更され、ルーフはブラックタイプを採用。これまで装着できなかった電動パノラミックルーフがオプションで選べるようになったのもニュースだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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