シトロエンDS3 Dスポーツ・プラスTHP165

公開 : 2015.01.29 23:50  更新 : 2021.03.05 21:44

シフト・フィールにも抜かりはなく、カチリと変速が決まるのは気持ちいいもの。ややロング・ストロークな印象は拭えないけれど、気分よく変速できることは間違いない。

上記のようにエンジンとギアボックスが確実に進化しているにもかかわらず、その他の点が他ライバルに及ばないのは残念。

なかでも目立つのは、低速域の乗り心地。端的にいって不快なのだ。ミニやフォードフィエスタSTも同じような硬さがあるにはあるが、これら2台は鋭いハンドリングに寄与しているだけまだいい。

その点Dスポーツは硬いにもかかわらず、ボディ・コントロールは凡庸。ステアリングを回したときに、一番はじめに感じるのは車体の重さなのである。クルマそのものの限界点が高いだけに、こればかりは残念でならない。

限界ちかくでは、アンダーステアが強めにでる。これをスロットルだけで手懐けることはさほど難しくはないけれど、ここでの楽しさもいまひとつ。安全と安定を意識しすぎる仕立てに落胆することになる。

内装にも不満がある。確かに居心地はいいのだけれど、このクルマはリムジンではない。したがって、これでもかと質感を高めるくらいならば、ドア・ポケットを大きくしてカップ・ホルダーを加えるなど、まだまだやるべきことは他にあるはずだ。

ドライビング・ポジションも同様、180cmの筆者は最後の最後まで適切な位置関係を見出すことができなかった。やや奇妙なペダル配置だけでなく、膝を曲げ続け、腕を伸ばし続けるのはお世辞にも快適な空間とはいえない。レザー・シートも見た目はいいけれど、包み込まれるというよりも、腰掛けるといった印象であった。

ダッシュボードの光沢が常に日光を乱反射させるため、こちらの素材も変えたほうがいいと思う。またクルーズ・コントローラーやラジオ・コントローラーがステアリング・ホイールの後ろに隠れてしまい扱いづらいため、インフォテインメント・システムと合わせて改善を望む。

と、ここまで厳しい意見を言わざるを得なかったけれど、荷室容量は賞賛に値する。所属するセグメントに対して285ℓという容量は十分に実用的で、ヘッドルームこそタイトではあるものの、前後方向のスペースが大人4人にとっても十分に確保されているのは嬉しい。

キセノン+LEDのヘッドライトや、エマージェンシー・シティ・ブレーキ、SOSオプション付きのダイアル-アップ・システムなど標準装備が豊富な点も加点ポイント。

クルーズ・コントロールやタイヤ空気圧モニター、リア・パーキング・センサー、ブルートゥース接続、オート・エアコンも最初からついてくる。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

人気記事