【激戦のハイパーカー・クラス】ランボルギーニは2024年WECにどう挑んだのか?

公開 : 2024.11.20 11:45

WEC(世界耐久選手権)にエントリー中のランボルギーニは、2024年シーズンにどう挑んだのでしょうか? ランボルギーニのチーフ・テクニカル・オフィサー、ルーヴェン・モール氏に、SC63によるレース活動の現状と来季の展望を伺いました。

参戦初年のリザルトとしては十分な結果

ランボルギーニは2024年シーズンから、WEC(世界耐久選手権)のハイパーカー・クラスに『SC63』で参戦を開始した。

伝統のル・マン24時間レースでは10位で完走を果たすなど、参戦初年のリザルトとしては十分な結果を残したシーズンだったともいえるが、それはスーパースポーツカーのトップブランドたる彼らにとって、必ずしも満足できるものではなかったのかもしれない。

ランボルギーニは2024年シーズンからWECのハイパーカー・クラスに『SC63』で参戦。
ランボルギーニは2024年シーズンからWECのハイパーカー・クラスに『SC63』で参戦。    ランボルギーニ

先日開催された最終戦のバーレーン8時間レースをリタイヤで終えた、『アイアン・リンクス・ランボルギーニ』の2024年シーズン。AUTOCAR JAPANはその前戦にあたる富士6時間レースのために来日した、ランボルギーニのチーフ・テクニカル・オフィサー、ルーヴェン・モール氏に、SC63によるレース活動の現状と来季の展望を伺うことができた。

「ランボルギーニ、そしてそのレース部門であるスクアドラ・コルセ、実際にレース活動をオーガナイズするアイアン・リンクス、そしてシャシーの供給元であるリジェとの関係は、非常に良く機能したと思います。複数から選択が可能だったシャシーから、リジェのそれを採用した理由は、ほかに供給先がなくランボルギーニだけのためにエンジニアリングを集中してくれるということにありました。

もちろんその選択は正しく、それぞれの組織とも有効な関係が保てました。アイアン・リンクス・ランボルギーニは、おそらくWECのハイパーカー・クラスに参戦するチームの中では最小のサイズだと思います。たとえばスクアドラ・コルセのスタッフなどは30名程度ですからね」

厳しい戦いになることは参戦前から十分に予想

WEC、そしてアメリカのIMSAに1台ずつのSC63を投入した2004年シーズン。モール氏はそれまでの戦績をどのように評価していたのだろうか。

「やはり世界のトップカテゴリーだけに、厳しい戦いになることは参戦前から十分に予想されていました。しかしシーズンが進む中で、SC63をどのように進化させなくてはならないのか、そのための策としては何が必要なのかが徐々に明らかになっていきました。エアロダイナミクスの向上や、さらなる軽量化などは、その代表的なものでしょう。

ランボルギーニのチーフ・テクニカル・オフィサー、ルーヴェン・モール氏にインタビュー。
ランボルギーニのチーフ・テクニカル・オフィサー、ルーヴェン・モール氏にインタビュー。    ランボルギーニ

先ほどもお話ししましたが、ランボルギーニは小さな組織なので、ロードカーもレーシングカーも、その開発は並行してエンジニアリング部門で進めていかなければなりません。我々は今年新世代のV型8気筒モデル、テメラリオを発表しましたが、開発の順番としてはテメラリオが先で、それにSC63が続いた形です。

2025年モデルのSC63ではすでに改良のプランは描かれているので、より高い戦闘力をサーキットで披露することができると思います」

だが2025年シーズンのWECには大きなレギュレーションの変更点がある。それはハイパーカー・クラスにおいてはすべてのメーカーに2台体制のエントリーが義務づけられること。つまりランボルギーニは2台目のマシンをWECのために新たに製作しなければならないという問題に直面することになる。それはランボルギーニのモータースポーツ活動にどれほどの影響を与えるのだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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