ACコブラ Mk2 347シリーズへ試乗 60年前とほぼ同じ! 「要求の高さ」がむしろ楽しい

公開 : 2024.12.02 19:05

1962年に生産が始まった、コブラ Mk2最後の1台 フォード由来の5.7L V8エンジンで405ps チューブラーフレームにリーフスプリング 他に例のない要求の高さが楽しい 英編集部が試乗

1962年に生産が始まったコブラ Mk2最後の1台

純白のACコブラ Mk2 347シリーズで、曇天の中を出発する。ロンドンから南西に40kmほど離れた、ブルックランズ・ミュージアムの敷地にある、短いストレートを飛ばしてみる。パワフルさに、冴えない天気はどうでも良くなった。

1976年のハリウッド映画、「ガムボールラリー(激走!5000キロ)」では、コブラ 427がカリフォルニア目指して疾走した。今日の路面は濡れているが、自然とそんなワンシーンが浮かぶ。

ACコブラ Mk2 347シリーズ(英国仕様)
ACコブラ Mk2 347シリーズ(英国仕様)

ACカーズは、21世紀にしっかり復調を果たそうとしている。数週間前、新モデルとなるコブラ GTロードスターの試作車を、AUTOCARではご紹介させていただいた。

かたや、筆者が運転しているのは、1962年2月に生産が始まったコブラMk2最後の1台。もちろん2024年の生産ラインは、60年前と同一ではない。英国の車両認証制度へ準拠もしている。

エンジンは、フォード由来の特別なV8ユニットで、最高出力は405ps。排気量は347cu.inだが、わかりやすい単位に換算すると、5686ccだ。設計の起源は、289cu.inのスモールブロックにある。

エンジンブロックはスチール製で、ヘッドはアルミニウム製。アメリカ・ノースカロライナ州のプレステージ・パフォーマンス社によって、ACカーズの希望通りにチューニングされている。キャブレターではなく、ホーリー社製の燃料インジェクションが載る。

トランスミッションは、トレメック社製の5速マニュアル。クワイフ社製のリミテッドスリップ・デフを介して、後輪へパワーは伝わる。

チューブラーフレームにリーフスプリング

ボディはアルミではなく複合素材だが、それ以外、基本的にコブラ Mk2は1960年代と変わらない。広がったフェンダーアーチで加勢されたMk3より、筆者は好きだ。ACエースの見た目へ近いから。

シャシーは、直径3インチ(約76mm)のスチール製パイプを組んだチューブラーフレーム。15インチのワイヤーホイールも、往年と同じサイズを履く。サスペンションは、前後ともリーフスプリング。この足まわりは、405馬力には心もとない。

ACコブラ Mk2 347シリーズ(英国仕様)
ACコブラ Mk2 347シリーズ(英国仕様)

助手席側には、トノカバーがかけられている。グレートブリテン島だから、いつ雨が降り出しても不思議ではない。レザー仕立てのバケットシートは低い。ダッシュボードにはメーターが7枚。ヒーターやワイパーなどのスイッチが、正面にある。

ステアリングホイールは、クラシックな3スポーク。1960年代と同じサイズで大径だが、それで高速域での安定性を保っている。パワーアシストがないから、駐車時には腕の負担も軽減してくれる。

歴史を遡ると、オートクラフト社が1980年代後半にACカーズ・ブランドの権利を取得。1990年代後半まで、工場はブルックランズ・ミュージアムのそばに存在していた。

同社は、コブラMk4の製造を継続しつつ、エースのリバイバルを模索する。しかし予算が尽き、50台を提供したところで倒産してしまう。

それより遥か以前、1922年には、ACカーズのモデルが今はなきブルックランズ・サーキットを160km/h以上で走行。1500cc以下で初となる記録を残している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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