最新「ミニやクリオ」に挑む5年目 アウディA1 35 TFSIへ試乗 総合力で応えるコンパクト!

公開 : 2024.12.14 19:05

5年目を迎えた2代目A1 凛々しいボディ 高級感ある車内に好ましいハードスイッチ 普段使いで不満ないパワートレイン 自然で正確なステアリング Sラインの乗り心地は硬い 英編集部が評価

最新ミニやクリオとの混戦をしのげるか

フォルクスワーゲン・グループのプラットフォームを素材に、秀でた高級感とスポーティな走りを実現させた、2代目アウディA1。登場は2019年で、5年が過ぎた。

アウディは、1クラス上のコンパクトを古くから提供している。1974年にはハッチバックの50が、1999年には革新的なA2が登場。初代A1は、2010年に発売された。

アウディA1 35 TFSI DSG(英国仕様)
アウディA1 35 TFSI DSG(英国仕様)

2代目A2も、それらの強みを継承。ブランドらしいモダンなデザインに、洗練されたパワートレイン、高水準な知覚品質などが与えられている。ベンチマークといえる実力を宿しつつ、価格の競争力も高い。

ライバルは、最新のミニ・クーパー Cやルノー・クリオ(ルーテシア)など。市場規模は縮小傾向にあり、競争は厳しさを増している。A2は、この混戦をしのぐことになる。

現在の英国で提供されるエンジンは、70psを発揮する1.0L 3気筒ターボの25 TFSIから。5速MTか7速デュアルクラッチATを選択できる。この上に、115psへ強化される30 TFSIがあり、MTは6速へ1段増える。

英国の最強仕様が、今回試乗した1.5L 4気筒ターボの35 TFSI。最高出力は150psへ上昇し、低負荷時には、2気筒を休止させ燃費を伸ばす機能も備わる。いずれもエンジンは横向きに載り、前輪駆動となる。

プラットフォームはポロと共有 凛々しい見た目

プラットフォームは、フォルクスワーゲン・グループのスチール製MQB-A0。サスペンションは、通常のダンパーとコイルスプリングの組み合わせ。リアはトーションビーム式で、Sライン・グレードでは、スポーツサスが装備され車高が落ちる。

スタイリングは、直線基調で面の折り目はシャープ。先代より凛々しくなった。Sラインには、専用のサイドシルや、部分的にフェイクのエアインテークへガーニッシュが追加される。少し攻撃的すぎる、と感じる人もいらっしゃるだろう。

アウディA1 35 TFSI DSG(英国仕様)
アウディA1 35 TFSI DSG(英国仕様)

ボディスタイルは、現在は5ドアのスポーツバックのみ。全長は4029mm、全幅が1740mm、全高が1409mmと、初代よりひと回り大きい。ポロと同等だ。

アウディらしい高級感 うれしいハードスイッチ

内装には上質な素材が用いられ、ポロとの差別化に努めているが、完全に異なる印象を与えるわけではない。アウディらしい高級感があるものの、丁寧に観察すると、調和を乱すプラスティック製部品もチラホラ見つかる。

登場当初は競争力の高かったインテリアデザインは、新型クーパー Cの登場でアドバンテージが薄れた。運転席からの視界は良好。前席側のアームレストはオプションだ。

アウディA1 35 TFSI DSG(英国仕様)
アウディA1 35 TFSI DSG(英国仕様)

上級グレードを指定すると、アルミニウム製トリムや、夜間の充足感を高めるアンビエントライト、快適なレザーシートなどを獲得。説得力が増す。

10.25インチの、メーター用モニターは標準。アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応した、インフォテインメント用タッチモニターは8.8インチ。テクノロジー・パッケージでは、10.1インチへ拡大する。

モニターはインテリアへ調和し、グラフィックは美しく、動作は速く滑らか。ロータリーコントローラーは備わらず、走行中の操作は少し難しいかも。

エアコンには、実際に押せるハードスイッチ。トラクション・コントロールやドライブモード用にも残されている。ラジオのボリュームも、クルクル回せるノブで調整できる。ステアリングホイールのリムにも、ハードスイッチ。とても操作しやすい。

後席側は、平均的な大人2名が快適に過ごせるものの、ポロより膝前の余裕は50mmほど少ない。荷室容量は335Lで、ポロより20L小さいが、クーパー Cより100L以上広い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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