アルファ・ロメオ・トナーレでジュリエッタ乗りに出会う【新米編集長コラム#9】
公開 : 2024.11.22 12:05
8月1日よりAUTOCAR JAPAN編集長に就任したヒライによる、新米編集長コラムです。編集部のこと、その時思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第9回はアルファ・ロメオ・トナーレで、とあるジュリエッタ乗りに出会った話です。
近所のディーラーまで見に行った
アルファ・ロメオ・トナーレは、それなりに思い入れのあるクルマだ。2019年3月のジュネーブ・ショーでコンセプトカーが登場した際に現地で見ていて、「これはカッコイイ……」と痺れたのをよく覚えている。
ES30型SZを彷彿とさせるヘッドライト、8Cコンペティツィオーネの流れを組むボディフォルム、ジュリア・クーペをオマージュしたサイドライン、プラグインハイブリッドであることを示す蛇の頭がプラグになった遊び心あふれるロゴ……。当時所属していた某雑誌で『今すぐ市販して欲しい』と書いたほどだ。
市販化されたのはそれから3年後の2022年で、日本へは昨年1月にまずマイルドハイブリッドの『TI』を導入。その後、上級モデルの『ヴェローチェ』が登場し、さらに今回撮影した『プラグインハイブリッドQ4』を追加したという流れだ。ちなみにTIがデビューした直後、個人的に近所のディーラーまで見に行ったのは本当の話である。
マイルドハイブリッドが1.5L4気筒ターボ+アシストモーターのFFであるのに対し、プラグインハイブリッドは1.3L4気筒ターボに前後1機ずつモーターを組み合わせた4WDとなる。ちなみに前者が160psで車重1630kg、後者は合計280psで車重1880kgとなるから、190kg増の重量を差し引いても、Q4のほうが動力性能は上だ。乗った印象は軽快でナチュラルなFFと、モーターの後押しで力強く走る4WDという塩梅で、キャラクターが異なる。
ただし、コーナリングがクイックかつスムーズで曲がるのが楽しいのは、両方に共通するアルファ・ロメオらしさだ。かつての名機ほどエンジンの官能性は正直感じられないが、人生を楽しむ天才のイタリア人たちが、電動化すら楽しんで開発しているような気がしてならない。このモントリオール・グリーンのトナーレを見ていると、細かいことは全て忘れさせる圧倒的なデザイン力があり、まさにイタリア車の面目躍如だと感じている。
知人の紹介でアルフィスタに出会う
今回、トナーレを借りている期間に知人の紹介で、とあるアルフィスタと出会った。ちなみに筆者はかつて『アルフィスタ』というアルファ・ロメオ専門誌を担当していたので、アルファ・ロメオ乗りのことをアルフィスタと呼んでいる。
市川正樹さんは、2021年2月に発売されたジュリエッタの最終モデル、『ジュリエッタ・スペチアーレ』にお乗りだ。ボディカラーはアノダイズドブルーメタリックで、イエローのアクセントが目印となる。限定20台のうちの1台だから、なかなかに貴重だ。
スキーが趣味の市川さんは、最初はスバル・レガシィ・アウトバックやボルボに乗り、最近はドイツ車が多かったが、どれも所有期間は短かったという。その中で例外的に長かったのはフォルクスワーゲン・トゥアレグのV8で、10年くらい乗ったそう。「やんちゃなクルマが好きなんです」と市川さんは笑う。
ではなぜアルファ・ロメオと出会ったのかと言えば、当時小学校6年生の息子さんがF1好きで、アルファ・ロメオで走っていたバルテリ・ボッタスのファンだったから。もちろん、ナンバープレートは『77』だ。クルマという共通項は親子のコミュニケーションツールとなり、クルマの話をしたり、一緒に走りに行ったり、グランツーリスモで遊んだりして楽しんでいた。
そういった流れで、最初は4Cを見に行ったところ、ショールームでジュリエッタ・スペチアーレに出会う。そこで「これは楽しめそうだ」と直感し、初のイタリア車として購入にいたったそうだ。市川さんは現在東京に単身赴任中で、車両は奈良の実家に置いたままだが、週末帰省しては近所のワインデングに走りに行き、ジュリエッタを堪能している。助手席の息子さんに「縁石を攻めすぎ」と注意されるほどに!