「シール」のクロスオーバー! シーライオン7へ試乗 BYDでベスト完成度 加減速感にクセはナシ

公開 : 2024.12.08 19:05  更新 : 2024.12.08 21:22

電動サルーン、シールのクロスオーバーがシーライオン ナッパレザーのインテリア クセのない530psの加減速 ソフトなサスにリモート感強いステアリング 競争は楽ではない 英編集部が評価

シールのクロスオーバー、シーライオン

BYDには、シール(アザラシ)という名のサルーンがある。その車高を持ち上げたクロスオーバーの名前は? シーライオン(アシカ)だ。確かに、ずんぐりとしたフォルムは似ているかも。

海洋生物にちなんだ名前や造形で展開する戦略を、BYDは選んでいる。中型のハッチバック、アット3という例外もあるけれど。

BYDシーライオン7 エクセレンス(欧州仕様)
BYDシーライオン7 エクセレンス(欧州仕様)

シーライオン7のパワートレインは3択。駆動用バッテリーは、スタンダードレンジで82.5kWh。リアに駆動用モーターが載る312psと、フロントにも追加される530psの2種類から選べる。航続距離は、前者が最長482km、後者が455kmとなる。

ロングレンジでは、91.3kWhへ増量。ツインモーターで、530psの最高出力は変わらない。航続距離は502kmが主張される。急速充電は、最大230kWに対応する。

基礎骨格は、シールと同じBYD独自のe-プラットフォーム3.0。駆動用バッテリーは、独自開発されたリン酸鉄リチウム(LFP)仕様だ。

ちなみに、バッテリーEVでも、補機類用の12V電源は従来的な鉛バッテリーが用いられることが多い。しかしシーライオンは、これにも軽量なLFPバッテリーを選んでいる。8年間の寿命がうたわれ、バッテリーあがりの心配は少ない。

ナッパレザーのインテリア 高めのフロア

中国の新興メーカーの中でも、経験を高めつつあるBYDだが、スタイリングやインテリアデザインには奇抜さが薄れてきたように思う。ただし、製造品質の向上を感じる一方で、グロスブラックの樹脂パネルが多く、視覚的な特徴は薄い。

今回試乗したシーライオン7は、ツインモーターのロングレンジで、トップグレードのエクセレンス。ナッパレザーのインテリアで仕立てられていた。一定の高級感はあり、BYDの他のモデルにありがちな、強い新車臭も抑えられていた。

BYDシーライオン7 エクセレンス(欧州仕様)
BYDシーライオン7 エクセレンス(欧州仕様)

ダッシュボード中央には、縦横に向きを変えられるタッチモニター。インフォテインメント・システムは最新世代で、画質は高精細。画面の下部には、エアコンなどのショートカットメニューが常時表示される。市場の意見に耳を傾けたといえ、評価したい。

それでも、大画面は有効に活かせていない印象。翻訳も部分的に完全ではない。試乗車は、アップル・カープレイを利用できなかった。

車内空間は広いといえるが、フロア面が高いため、想像ほど快適な姿勢を取れるわけではない。荷室容量は、ヒョンデアイオニック5と同等。フロント側には、58Lの収納空間、フランクが設けられている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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