英国の路面との相性は素晴らしい! アルファ・ロメオ・ジュリアQV 長期テスト(1) クセも幾つか
公開 : 2024.12.07 09:45
フェラーリのV8ユニットとの深い関係
そしてこのエンジンは、普通のオールアルミ製2.9L V型6気筒ではない。開発に携わったアルファ・ロメオの関係者から、フェラーリの3.9L V型8気筒からインスピレーションを受けたユニットだと、しっかり回答を得ている。
バンク角は90度で、フェラーリのそれと共通。シリンダーのボアとストロークのサイズも、ピッタリ一致する。ターボチャージャーのサプライヤーも、実は同じだったりする。
マセラティのネットウーノ・ユニットも、同じV8エンジンとの関係性が深い。ただし、スーパーカーのMC20で短時間味わった限り、質感や音響はだいぶ異なるようだ。8000rpmに設定される、レブリミットはジュリア・クアドリフォリオと共通だが。
この2基の比較も、気になるところではある。長期テストのネタとして、機会があれば確かめたいと思う。
印象はかなりイイ イタリア車らしいクセも
これまで数日をともにした限り、ジュリア・クアドリフォリオの印象は相当に良い。運転はすこぶる楽しい。同時に、イタリア車的な独特のクセもいくつか発見できた。
ステアリングホイールの奥にある、メーター用モニターの表示は変更できる。走行モード毎に。グラフィックは、古いアルファ・ロメオ風のアナログメーターが筆者好み。もちろん狂いなく針が動き、必要な情報を正確に教えてくれる。
左隅には、残りのガソリンで走れる距離が表示される。丁寧なアニメーションを交えて。ところが、余り当てにならない。数字がコロコロと大きく変化するのだ。公道を走っている限り、条件は一定ではない。もう少し、安定した距離を示して欲しいところ。
インフォテインメント・システムは、ジャーマン・ブランドには届いていない。タッチモニターのサイズは8.8インチで、ライバルと比べると小さい。グラフィックは高精細といえず、インターフェイスには旧世代感がある。
もっとも、アルファ・ロメオのスーパーサルーンとして、大きな問題とはいえないだろう。筆者も、余り気にはしてはいない。
アップル・カープレイには、有線で対応する。充電もワイヤレスが一般化しつつあるのに、毎回アームレストの中のケーブルを引っ張り出し、アイフォンへ差し込むのは面倒だと感じているのが本音。慣れの問題かもしれないが。
セカンドオピニオン
ジュリア・クアドリフォリオには、古くからのクルマ好きが惹かれる要素がすべて詰まっているといっていい。素晴らしいガソリンエンジンと、聴き応えのあるエグゾーストノート、美しく適度に小さなボディ、後輪駆動のシャシーなど。
しかし、燃費はよろしくない。筆者としては、多くの魅力を霞めるほど。長期テストの毎日で、マレー・スカリオンはこの事実とどう向き合うのだろうか。 ジャック・ウォリック(Jack Warrick)