メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
公開 : 2024.11.23 20:25
走り ★★★★★★★★☆☆
CLE300eのネックは価格だ。2ドアではないにしても、同じクラスにはもっと安価でありながらはるかに速くパワフルな競合車がある。EVやICEも含めれば、さらに選択肢は広がる。少し予算を上げれば、6気筒で4WDの5シリーズPHEVも手に入る。
しかし、十分ありうるのは、メルセデスがそれらすべてを熟慮して、賢明にもより楽に個性を主張できるものを重視したということ。具体的にいうなら、洗練性やドライバビリティ、EV走行距離だ。
おおまかにいえば、CLE300eはまさにそうしている。6万4610ポンド(約1273万円)もする電動化したクルマとしてはとくに速くはなく、速く走らせることが楽しいクルマでもないが、高級車に期待するような静粛性やなめらかさをみせ、運転はイージーで心地いい。
電気モーターは常に、引き出しやすい豊かなトルクを、どのギアに入っているときでも発揮してくれることは、固定ギアでの加速データに表れている。そうすることで、むやみなシフトダウンをなくし、エンジン回転を低く保ったり、エンジンを使わなかったりすることを可能にしている。その上、2.0Lガソリンエンジンが回っていて、かなりハードに使われているときでも、ほかの直4ターボほどエンジン音がキャビンへ入ってくることはない。
モーターのみでのパフォーマンスは、市街地ではゆとりがあり、A級道路やB級道路のペースでも必要十分。ハプティックなフィードバックがアジャストできるスロットルペダルは、モーターのみで走ろうとした際の運転をしやすくしてくれる。
それを踏み越えれば、0−48km/hは3.7秒、0−97km/hは12.2秒。交通の流れには楽についていけるだけの速さを発揮する。
競合するPHEVには備わらないものもあるが、メルセデスはEVモード時のブレーキングでのエネルギー回生をパドルで調整できる機構を採用。ドライバビリティを高め、市街地ではほとんどブレーキペダルを踏まないで走ることも可能にする。これを使うと、ペダルの効き具合がややソフトでムラがあるように感じることもあるが、本気でイラだつほど悪くはない。