【1970年代国産GTカーに思いを馳せて】光岡自動車からM55の市販バージョンが登場!

公開 : 2024.11.22 07:05  更新 : 2024.11.22 11:52

光岡自動車は昨年コンセプトモデルを公開した『M55』の市販バージョン、『M55ゼロエディション』を発表しました。ホンダ・シビックをベースに2025年、100台を生産します。作り手の想いを内田俊一がレポートします。

ベース車はホンダシビックLXの6速MT

光岡自動車は11月21日、昨年コンセプトモデルを公開した『M55』の市販バージョンを発表、2025年生産分『M55ゼロエディション』の申し込みを22日より受け付ける。価格は808万5000円で、6速MTのワングレード、レジェンダリーグレーメタリック1色展開。生産台数は100台のみとなる。

ベース車は『ホンダ・シビックLX』の6速MT(先般行われた改良前モデル)で、この100台は抽選販売。申込期間は11月22日から2025年1月19日までだが、応募者数が350名に達した場合はその時点で終了となる。抽選発表は1月下旬。これも早めに締め切った場合には、早まる可能性があるという。

光岡自動車から発表された、2025年生産分の『M55ゼロエディション』。
光岡自動車から発表された、2025年生産分の『M55ゼロエディション』。    平井大介

抽選販売に参加するためには、全国の光岡自動車取扱拠点で専用の申込用紙に記入し、申込金55万円を支払う必要がある。抽選に外れた場合、55万円は返金される。電話やFAX、メールでの受け付けはなく、来店し対面での受付に限られる。納車は2025年5月から開始され、年末までに完納する予定だ。

ホンダからベース車両を供給してもらう条件として、ナンバーをつけた状態で販売店を通じて光岡に納車する必要があった。従って一度登録をしたうえでM55に生まれ変わり、改めて中古新規登録となるため、初回車検は新車の3年ではなく、2年になる。

2026年以降の生産分については、RSはもちろん、CVTやハイブリッドも含めて検討しているという。

光岡と同じ55年の人生を歩んだ世代がターゲット

M55は、光岡自動車創業55周年を記念し企画されたものだ。そこで光岡と同じ55年の人生を歩んだ世代をメインターゲットに据え、感受性豊かな少年少女時代に体験した様々な出来事や、1970年代の時代感覚をベースにデザインされた。

企画自体は2021年の秋にスタート。SUVの『バディ』がヒットし、ビュート・シリーズの4代目『ビュート・ストーリー』のデビューが決まった頃で、「その次の商品企画をどうするか思い悩んでいた」と話すのは、光岡自動車執行役員ミツオカ事業部営業企画本部長の渡部稔さん(1960年代生まれ)だ。

バディのヒット後は逆に次を悩んでいたと、光岡自動車の渡部稔さん。
バディのヒット後は逆に次を悩んでいたと、光岡自動車の渡部稔さん。    平井大介

生産現場では日々バディの増産対応に追われ、先のことよりいまをどう乗り切るかに注力。その状況を目の当たりにして、「次の商品はいつ出せるんだ、次は何を出したらいいんだ、バディを超えるものはもう生み出せないのかもしれない」と思い悩んでいた。

また、街を走るクルマを眺めると、「圧倒的なSUVの多さと絶望的ともいえるセダンの少なさに時代の流れを感じ、次もSUVなのかと悩んでもいた」という。そこでふと疑問が湧いた。このSUVは、子育てを終えた夫婦ふたりで使う分には持て余してしまうのではないか。子育ても終わり、仕事も家庭も全力投球で歩んできた世代には、この先の人生、もっと気分を上げて楽しめるクルマがあってもいいんじゃないか。「SUVではない何か別のテーマのワクワクを、この世代は望んでいるのではないか」という考えが根底にあったそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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