ヒョンデ、新型高級SUV「アイオニック9」でレンジローバーに対抗 過去最大のEVがデビュー

公開 : 2024.11.22 06:25

ヒョンデが新型EV「アイオニック9」を発表した。2025年夏から韓国、北米、欧州などで発売される全長5m超の大型SUVだ。高級感や快適性を追求し、大胆なデザインと広いキャビンを特徴とする。

「絶対に乗りたくないという人も大勢いる」

韓国の自動車メーカーであるヒョンデは11月20日、新型EV「アイオニック9」を発表した。これまでで最も大型の7人乗りSUVであり、最高出力435ps、最長航続距離620kmを誇る。2025年前半に韓国と米国で発売され、その後、欧州やその他の市場でも販売開始予定だ。

ヒョンデのEVシリーズのフラッグシップモデルに位置づけられ、アイオニック5と同じE-GMPプラットフォームを採用している。価格は最高8万ポンド(約1560万円)に迫ると予想され、前例のない領域に踏み込むことになる。

ヒョンデ・アイオニック9
ヒョンデ・アイオニック9    ヒョンデ

2021年に公開されたコンセプトカー「セブン」のデザインを踏襲しており、リアに向かって細く絞り込まれていくボディ、傾斜がかかったルーフ、切り立ったリアエンド、回転可能な2列目シート(オプション)などを採用している。

しかし、セブン・コンセプトという名が示すように、当初は「アイオニック7」と命名されるはずだったが、開発途中で「9」の数字が与えられることになった。おそらく、よりコンパクトな新型車へ「7」を譲ったと思われるが、その登場時期については明らかではない。

2019年に発売されたエンジン搭載SUV、パリセードの成功に基づき、アイオニック9は米国市場重視で開発されているが、グローバル戦略車であることに変わりはない。欧州では同クラスのボルボEX90メルセデス・ベンツEQS SUV、キアEV9(密接な関係にある)の強力なライバルとなるだろう。

ヒョンデの中で最も高級志向のモデルであり、アウディBMWのような既存の高級車ブランドからヒョンデへの顧客獲得に重要な役割を果たすだろう。デザイン責任者のサイモン・ローズビー氏はAUTOCARに対し、近年のヒョンデのポジショニングの劇的な変化を象徴していると語った。

「価格に対して信じられないほどプレミアムなクルマを手に入れることができる。ヒョンデは高級車ではないと言う人もいるだろうが、得られるもの、仕上がりの質、技術的内容を見れば、(小型EVの)インスターでさえも高級車だ。あるジャーナリストがアイオニック6について述べたように、ヒョンデは白物家電メーカーから、エモーショナルで、魅力的で、高品質なクルマを作るメーカーになったのだ」

ローズビー氏は、アイオニック9が本格的なラグジュアリー車セグメントに食い込む可能性もあると示唆した。ランドローバーレンジローバーのオーナーも乗り換える気になると思うかという質問に対して、同氏は「もちろんだ。乗り換えたくなる人が大勢いると思うが、絶対に乗りたくないという人も大勢いると思う。それでも構わない」と答えた。

欧州向けの価格はまだ明らかにされていないが、エントリーグレードは6万ポンド台前半(約1170万円)で、最高スペックのグレードは7万5000ポンド(約1450万円)近いと予想されており、ヒョンデの市販車としてはこれまでで最も高価になる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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