ベーシックな3.0Lユニットが最良の選択? ポルシェ911 カレラへ試乗 新ターボ&インタークーラー獲得

公開 : 2024.12.07 19:05  更新 : 2024.12.11 09:56

最も公道を優しく走れる911 文句ない速さ

公道へ出れば、最もお手頃なカレラが、最も公道を優しく走れる911だということがわかる。特別なS/Tやダカールを除いて。

乗り心地には適度な締まりがあり、走行中のロードノイズは小さくない。それでも、安定していてリラックスできる。サスペンションをソフト側へ切り替えれば、路面へしなやかに追従。クラシックな911のように、僅かなノーズの上下動も味わえる。

ポルシェ911 カレラ(英国仕様)
ポルシェ911 カレラ(英国仕様)

992型はすっかり大きくなったが、それでも全長4542mm、全幅1852mmと、一般道で扱いやすいサイズ内。正確なステアリングで、ボディを導きやすい。グリップ力も、特にドライ路面では文句なし。ブレーキは強力でありつつ、制動力を調整しやすい。

モダンな911へ挑発的な操作を加えても、余り意味はない。落ち着いた操縦性と、甘美なエンジンを堪能するように、流暢に走らせるスタイルが似合う。

アップデート前の992型へ試乗したのは、だいぶ前。増えた9psを筆者は実感できなかったものの、ポルシェに過不足ないパワーだと感じた。文句なく速く、圧倒されるほど強力ではない。動力性能は、997型の911 GTSに並ぶ。

PDKは、2速でレッドラインまで引っ張ると、約100km/h。中低域からトルクをみなぎらせ、サウンドも素晴らしい。高域まで引っ張らずとも、ゾクゾクできる。これ以上のパワーが本当に必要なのか、と思えてくる。

911のエンジンはカレラの3.0Lが最良の選択?

ただし、もし筆者が992.2型を選ぶ場合は、MTを選べるカレラTにするだろう。クルマとの一体感を追求するなら、クラッチペダルとシフトレバーで、深く関与したいことが1つ目の理由。ここには、賛否があると思うが。

もう1つは、PDKが高いギアを選びたがること。フラット6のサウンドを、機械任せでは鑑賞しにくい。そのおかげで、若干の物足りなさが漂う。またシフトパドルを弾いても、実際にギアが変わるまで、僅かなラグが生じるのも気になってしまう。

ポルシェ911 カレラ(英国仕様)
ポルシェ911 カレラ(英国仕様)

とはいえ、それは些細なこと。タコメーターの件も同様だが、こんな不満は世の中の流れに逆らうようなものといえる。

他のモデルと同様に、911にも制限速度の警告機能と、車線維持支援が備わる。簡単にオフにできるものの、控えめな動作がうれしい。速度警告のアラームは音量が小さく、ロードノイズにかき消されることも多かった。

911 カレラは、普段使いできるスポーツカーのベンチマーク。この事実は、992.2型でも揺るぎない。低くない実用性を備えつつ、腕の立つドライバーを満たしてくれる。

歓迎されないアップデートが、今回は含まれているかもしれない。しかし、核となる特長はそのまま。むしろ、ベーシックな3.0L ツインターボエンジンが、今では911で最良の選択に思えたことは本当だ。

ポルシェ911 カレラ(英国仕様)のスペック

価格:9万9800ポンド(約1946万円)
全長:4542mm
全幅:1852mm
全高:1303mm
最高速度:294km/h
0-100km/h加速:4.1秒
燃費:9.8km/L
CO2排出量:232g/km
車両重量:1520kg
パワートレイン:水平対向6気筒2981cc ツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:394ps/6500rpm
最大トルク:45.8kg-m/2500-5000rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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