マイチェンモデルに700km乗ってみた!【ヒョンデ・アイオニック5長期レポート6】

公開 : 2024.11.28 11:45

編集部はヒョンデ・アイオニック5を長期レポート車として導入していましたが、前回のレポートで退役。コナに入れ替えとなります。第6回はその幕間として、マイチェン版の新型アイオニック5に内田俊一が長距離試乗。その印象をレポートします。

容量アップで航続距離700km越え

ヒョンデ・モビリティ・ジャパンはアイオニック5の商品改良を実施し、11月8日より販売を開始した。ヒョンデのショールームが岡山にオープンしたその取材の帰り道(別記事でレポート)、高速や一般道を合わせて約700km走らせる機会を得たので、レポートする。

今回の商品改良のポイントとなるのは、バッテリー容量のアップだ。これまでの72.6kWhから84kWhに増大するとともに、エネルギー密度の高い第四世代バッテリーセルを新規採用。結果として航続距離が、2WDモデルで618kmから703kmに伸びた(WLTCモード値)。参考までに今回の試乗車であるラウンジAWDは、同じく577kmから616kmに伸びている。

ヒョンデはアイオニック5の商品改良を実施し、11月8日より販売を開始。
ヒョンデはアイオニック5の商品改良を実施し、11月8日より販売を開始。    内田俊一

またドライブモードがこれまでのECO、NORMAL、SPORTに加えて、『MY DRIVE』も設定。ステアリングの重さやアクセルレスポンスなどを、自分好みに選択できるようになった。

そのほか前後バンパーのデザイン変更や、モーター制御の改善(AWD車では前後のモーター合計で239kWと、225kWから14kWアップ)、静粛性向上などが図られている。

シフトレバーは改善を望みたい

出発地点となった岡山の街中では、基本的にECOモードをセレクト。これでも十分にパワフルで、改良前と比較するとアクセルコントロールがしやすくなっていたので、モーター出力とのバランスが改めて図られたのだろう。知らない街中で走らせていても、変な緊張感を持つことはなかった。さらに、ウインカーレバーが日本車と同様に右側についていることも評価したい。こういった細かい心遣いは嬉しいものだ。

しかしただ1点、どうしても気になることあった。それはステアリングコラム右側から生えているシフトレバーだ。ダイヤル方式で前にひねるとドライブ(D)、後ろにひねるとバック(R)になる。これがこちらの感覚とずれているのだ。通常のATのシフトを思い出してほしい。ニュートラルを中心に前側がバック(R)で、手前がドライブ(D)と逆。確かにダイヤルを前に回す方向と前進は同じ向きになるが、いざとなると間違いやすく、実際に何度もシフトミスをしてしまった。ぜひこの点は改善を望みたい。

ステアリングが2本から3本スポークとなるなど、細かい改良を受けた室内。
ステアリングが2本から3本スポークとなるなど、細かい改良を受けた室内。    内田俊一

もうひとつ付け加えるなら、空調の温度調整などのタッチ画面が見難く、表示が小さいので非常に操作しにくかった。しかもその上にはセンタースクリーンの切り替え用の物理スイッチも並んでおり、もう少し使いやすさを考えて欲しいと感じた。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    内田千鶴子

    Chizuko Uchida

    イタリアとクルマが大好きで、1968年式のFiat 850 spider Serie2を20年以上所有。本国のクラブツーリングにも何度か参加している。イタリア旅行時は、レンタカーを借りて一人で走り回る。たまたま夫が自動車ジャーナリストだったことをきっかけに取材を手伝うことになり、写真を撮ったり、運転をしたりすることになった。地図は常にノースアップで読み、長距離試乗の時はナビを設定していても、ナビシートで常に自分で地図を見ていないと落ち着かない。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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