発案はデロリアン! ポンティアックGTO(1) 「元祖」マッスルカー スポーティでヨーロピアン

公開 : 2024.12.14 17:45

信じられないほど豊富だったオプション

かなりの台数が作られたものの、グレートブリテン島でGTOは珍しい。ポンティアックを専門に扱うオートポンティアック社を営み、オーナーズクラブの中心人物であるロビン・グレイ氏を介して、所有するロバート・グリーン氏を紹介していただいた。

GTOはコンバーチブルの他に、ピラーレス・ハードトップクーペと、スポーツクーペが提供されている。最も人気が高かったのは、ピラーレス・ハードトップクーペ。コンバーチブルの人気は低かったが、それでも初年度に6644台が売れている。

ポンティアック・テンペスト・ルマン GTO コンバーチブル(1964年式/英国仕様)
ポンティアック・テンペスト・ルマン GTO コンバーチブル(1964年式/英国仕様)

「自分はいつも、マッスルカーはクーペだろうと考えてきたんですけどね」。と話すグリーンは、1989年式のシボレーコルベットC4 ZR-1も所有する。

彼のコンバーチブルが英国へ届けられたのは、1964年4月。当初のボディカラーはカメオ・アイボリーだったが、その後グリーンやスカイ・ブルーにスプレーされ、現在のレッドに落ち着いた。

グリーンが購入したのは10年前。それ以来、運転を楽しみながら、レストアを重ねている。メカニカル的な部分は、すべて自ら仕上げてきた。ボディは、これからオリジナルのカラーへ戻すことを計画している。インテリアも、新調予定だという。

マッスルカーの魅力の1つといえるのが、オプションが信じられないほど豊富だったこと。このGTO コンバーチブルには、エアコンとパワーウインドウ、ステアリングホイール・チルト機能、パワーシートなどが盛り込まれている。

トリプルキャブで353ps 1966年に独立モデル化

V8エンジンには、ロチェスター社製の2バレル・トリプル・キャブレターが組まれている。通常は、カーター社製の4バレル・シングル。これにより、最高出力は329psから353psへ上昇している。

トランスミッションは、3速や4速マニュアルも存在したが、スーパータービン300と呼ばれた2速オートマティックもあり、これもオプションだった。1967年には、ターボ・ハイドラマティック400という名の、3速が登場している。

ポンティアック・テンペスト・ルマン GTO コンバーチブル(1964年式/英国仕様)
ポンティアック・テンペスト・ルマン GTO コンバーチブル(1964年式/英国仕様)

もう1台、ブラックの1966年式ピラーレス・ハードトップクーペは、12年前にグレートブリテン島へ上陸した移住車。アメリカのポール・トゥトゥル・シニア社によって、海を渡る前にレストア済みだ。

オーナーはニック・トロット氏で、トランスミッションは4速マニュアル。これにも、トリプル・キャブレターが組まれている。

当初、テンペスト・ルマンのオプションという設定のGTOだったが、この年から1つのモデルとして独立。フェイスリフト受け、水平に4灯並ぶヘッドライトから、片側に2灯が重なるデザインへ変更されている。

ボディの中央がくびれた、コークボトル・ラインも強調された。ピラーレスで、リアウインドウはリアピラー面より内側へレイアウトされている。ブラックのビニール・ルーフはオプション。筆者は、これが最も美しいGTOだと思う。

2台の見た目はオリジナルヘ近いものの、フロントへ組まれるディスクブレーキは例外。本来は1967年式から採用されたものだが、以前から必要性の高いアイテムといえた。

この続きは、ポンティアックGTO(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    コリン・グッドウィン

    Colin Goodwin

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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