高校生の「デートカー」に活躍 ポンティアックGTO(2) 現代的なモディファイで完璧な走り

公開 : 2024.12.14 17:46

ジョン・デロリアン氏が生み出した元祖マッスルカー、ポンティアックGTO テンペストをビッグブロック化 スポーティでヨーロピアンなイメージ デートカーとして活躍 英編集部が2台をご紹介

古いオープンカーとして驚くほどの操縦性

元祖マッスルカーの走りへ、期待と不安が入り交じる。最初にシートへ腰を下ろしたのは、レッドのポンティアック・テンペスト・ルマン GTO コンバーチブル。389cu.in(6374cc)のV8エンジンは、始動直後に滑らかなアイドリングを始める。

発進させると、古いアメリカ車のオープンカーの割に、驚くほど操縦性が良い。直進時も細かくステアリングホイールを動かし続けるような、典型的なイメージとは別物。ステアリングレシオは、所有するロバート・グリーン氏の考えでクイック化されている。

レッドのポンティアック・テンペスト・ルマン GTO コンバーチブルと、ブラックのポンティアックGTO ハードトップクーペ
レッドのポンティアック・テンペスト・ルマン GTO コンバーチブルと、ブラックのポンティアックGTO ハードトップクーペ

フロントサスペンションのアライメントも、見直されている。ステアリングの反応は精度が高く、ブレーキも頼もしい。オートマティックは4速へ置換され、高めの速度域でも予想を上回ってリラックスできる。

ボディは巨大だが、フロントフェンダーのエッジが立ち、左右の位置を掴みやすい。現代の大きなSUVと比べても、車線の中央を簡単に保てる。車重は1860kgあるが、最近の感覚では重すぎるとはいえないだろう。

アクセルペダルの角度が浅い時は、トリプル・キャブレターの内、動作するのは中央の1基のみ。オリジナルでは、それを挟む2基はバキュームホースで制御された。グリーンは、これをワイヤー式へ変更してもいる。

巨大なトルク 滑らかなパワーデリバリー

標準のATが2速しかないことを忘れるであろう勢いで、トルクは巨大。かつて、全力加速時の制御は難しかったかもしれないが、新しいタイヤなら大きな問題にはならない。

キャブレター制御の改良もあって、パワーデリバリーは滑らか。V8エンジンは、きれいに吹け上がる。途中でためらうような素振りは一切ない。

ポンティアックGTO ハードトップクーペ(1966年式/北米仕様)
ポンティアックGTO ハードトップクーペ(1966年式/北米仕様)

GTOのコンバーチブルは、本物のマッスルカーではある。しかし、ソフトトップを畳んで、カリフォルニア州のパシフィック・コースト・ハイウェイを流すようなスタイルが最適だろう。カーブで手を焼くSUVを、短いストレートで追い越しながら。

対するブラックの1966年式GTO ハードトップクーペは、ドラッグレース・コースがぴったり。ニック・トロット氏のクルマには4速MTが載り、オプションだったハースト社製のシフトノブが付いている。

オーナーは、フルスロットル時のマナーが完璧ではないと話す。確かに、キャブレターのセッティングには詰める余地があるようだ。少し残念。

リアアクスルのレシオは、コンバーチブルと比べてかなりショート。クロスレシオのマニュアルへ、合わせた設定と考えられる。当初は2速ATの支持率が高かったものの、1967年には半々でMTが選ばれるようになっていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    コリン・グッドウィン

    Colin Goodwin

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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