走行距離41万km超えの実力は? 「9年落ちの」テスラ・モデルS 90Dへ試乗 印象的な耐久性!

公開 : 2024.12.15 19:05  更新 : 2024.12.30 07:44

テスラ・モデルSの登場は画期的な瞬間だった? 走行距離41万8000km超え、9年落ちの実力は? 旧式のパソコンに触れているような感じ 航続距離はまだ320km以上 英編集部が検証

モデルSの登場は画期的な瞬間といえた

テスラ・モデルSの登場は、いわば画期的な瞬間といえます」。遡ること2013年、AUTOCARはポルシェパナメーラアストン マーティンラピードの3台で比較試乗。モデルSを勝者に選んだ。

翌2014年に、英国で販売がスタート。ロータス・エリーゼの技術を利用した、テスラ・ロードスターにも英国編集部は感銘を受けていたが、新生バッテリーEVメーカーの本格的な展開は、このサルーンから始まった。

テスラ・モデルS 90D(2015年式/英国仕様)
テスラ・モデルS 90D(2015年式/英国仕様)

10年前、日産リーフBMW i3などが、電気自動車の間口を広げつつあった。しかし、殆どのモデルの航続距離が200km程度だった時代に、テスラは400km以上の距離を主張した。ガラケーの世界に突如現れた、アイフォーンのような存在だった。

それでは、グレートブリテン島で10年を過ごしたモデルSの実力とは。正確には1年短い、9年落ちの90Dを準備し、ロードトリップへ出てみよう。テスラの急速充電器、スーパーチャージャーを目的地に。

スタート地点は、英国最新のスーパーチャージャー・ハブ。グレートブリテン島南西部の、デヴォン州エクセターから。航続距離の変化や運転体験を確かめるため、駆動用バッテリーを100%まで充電する。

ロンドン西部に位置する、ウェストフィールド・ショッピングセンターの駐車場がゴール。ここは2013年に、英国初のスーパーチャージャーをテスラが準備した場所だ。

走行距離は41万8000km超え その実力は?

今回の車両は、かなり過酷に乗られてきた1台。英国のテスラが最初のオーナーで、スーパーチャージャーの敷設・点検などのため、技術者の移動の足になってきた。走行距離は、なんと41万8000km超え。ボディやインテリアには、無数の傷がある。

初期型で、最新のスーパーチャージャーの充電ソケットには対応していない。CCSケーブルをつなぐには、変換ソケットが必要になる。充電開始時の残量は44%。1時間かからず、フル充電になった。

テスラ・モデルS 90D(2015年式/英国仕様)
テスラ・モデルS 90D(2015年式/英国仕様)

電気自動車の駆動用バッテリーは、経年劣化することをご存知だろう。このモデルSの場合、85kWhのユニットが載っているが、利用可能なのは84%の71kWhへ減っていた。フル充電時にタッチモニターへ表示された、予測の航続距離は370kmだった。

ショッピングセンターまでは、約290km。問題なく辿り着けるだろう。到着時に、20%の電気が残る計算でもある。

モデルSを東へ向け、国道A303号線へ。キャビンはまだカシっと組まれた印象だが、タクシーのような妙な匂いが僅かに漂う。ソフトウエアは、無線でアップデート済み。この技術も、テスラが他社へ先行して導入したものだった。

9年前の90Dでも、0-100km/h加速は4.0秒と俊足だったが、今日はそれを求めてはいない。ドライブモードは、チル・モード。エアコンとラジオはオン。例によって小雨が降っている。一般的な利用環境に近いだろう。

沢山の手で握られてきたステアリングホイールは、ピカピカ。時折顔を出す、太陽の光を反射する。至って安楽に、ゴールまでの距離が縮んでいく。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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