走行距離41万km超えの実力は? 「9年落ちの」テスラ・モデルS 90Dへ試乗 印象的な耐久性!

公開 : 2024.12.15 19:05  更新 : 2024.12.30 07:44

旧式のパソコンに触れているような感じ

アスファルトが古い区間では、予測の航続距離が短くなる。到着時の駆動用バッテリーの残量は、一時的に11%になった。だが、更に進むと20%へ回復する。

A303号線は、起伏が多い。電費には良くないが、雄大な自然の景色を楽しめる。時折、ブリストル海峡がチラ見えする。

テスラ・モデルS 90D(2015年式/英国仕様)
テスラモデルS 90D(2015年式/英国仕様)

新石器時代の遺跡、ストーンヘンジへ近づくと道路は渋滞。ここは、英国で最も観光客の多い場所の1つだ。混雑を避けつつ、写真撮影で脇道へそれる。16kmほど遠回りした結果、目的地までの行程は305kmへ伸びてしまった。とはいえ、まだ大丈夫なはず。

ショッピングセンターまでの道沿いには、スーパーチャージャー以外の急速充電器も沢山ある。ギリギリまで試すつもりはない。

フレームレスのサイドウインドウは、ドアの開閉時に僅かに上下するのだが、稀にドアを閉めても完全に戻らないことがある。ボディへ埋まったドアノブは、キーフォブを2回押すと飛び出る。どこか、旧式のパソコンに触れているような感じがする。

高速道路のM3号線へ。ロンドンが近づくほど交通量が増えていく。すでに擦り傷だらけのモデルSだから、普段より緊張感は少ないかもしれない。

静止状態からの発進加速は圧倒的。乗り心地は滑らか。ゼロエミッション・ゾーンにも構わず入っていける。テスラ・モデル3より、特別感もある。ロンドンの中心部に、ピッタリのサルーンだ。

航続距離はまだ320km以上 印象的な耐久性

市街地に入ると、電費が向上。到着時のバッテリー残量が増え始める。モデルSは順調にシェパーズ・ブッシュ・エリアの道を進み、ショッピングセンターの駐車場へ滑り込んだ。9年落ちのテスラへ抱いた自信は、間違いではなかった。

ロゴが赤く光る、急速充電器へモデルSを停める。特別な会員制クラブの看板のようだ。このスーパーチャージャー・ハブは、テスラ車専用だという。グレートブリテン島にある、ここ以外の76か所とは違って。

テスラ・モデルS 90Dを充電する筆者、ヴィッキー・パロット
テスラ・モデルS 90Dを充電する筆者、ヴィッキー・パロット

果たして、309km走って使用した電気は58kWhで、電費の平均は5.3km/kWh。駆動用バッテリーの残量は、46kmぶんの11%だった。1.6km当たりの電気代は、0.20ポンド(約39円)になる。

真夏でも、320km以上は無充電で走れるはず。真冬には270km程度へ減る可能性が高いが、現代の水準でも悪い数字ではない。テスラなら、急速充電器を利用できる。走行距離を踏まえると、モデルSの印象的な耐久性を物語るロードトリップになった。

やはり、モデルSの登場は画期的な瞬間だったのだと思う。直近の10年間で、世界を変えた自動車ブランドは?と聞かれたら、今の筆者はテスラと答えるだろう。改めて、この電動サルーンの誕生をお祝いしたい気持ちになった。

テスラ・モデルS 90D(2015年式/英国仕様)のスペック

英国価格:5万280ポンド(2015年時)/1万4000ポンド(約273万円)前後
全長:4980mm
全幅:1960mm
全高:1440mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.0秒
航続距離:426km
電費:−km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1961-2250kg
パワートレイン:ツイン非同期モーター
駆動用バッテリー:85kWh(新車時)/71kWh(試乗車)
急速充電能力:−kW
最高出力:423ps(システム総合)
最大トルク:67.2kg-m(システム総合)
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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