新ダンパーで乗り心地「大改善」 ボルボXC90 B5へ試乗 高い安心感と成熟度 クラス最有力の1台

公開 : 2024.12.13 19:05

2015年登場の2代目XC90がフェイスリフト 周波数感応式ダンパーと新フロントグリル、11.2inchモニター獲得 選択肢はHVのみ 高い安心感と成熟度 乗り心地は大改善 英編集部が評価

周波数感応式ダンパー獲得 選択肢はHVのみ

当時最新の技術を搭載した、2代目XC90の発売は2015年。その頃、ボルボの未来は新たな親会社、ジーリー・ホールディング・グループが握っていた。

この10年足らずで経た、変化の大きさに驚いてしまう。電動の小型SUV、EX30と、大型SUVのEX90をリリース。電動ワンボックスのEM90も控えている。いずれも、ジーリー傘下の他ブランドと、プラットフォームを共有している。

ボルボXC90 B5 ウルトラ(欧州仕様)
ボルボXC90 B5 ウルトラ(欧州仕様)

XC90も、現在はマイルドとプラグインのハイブリッドのみ。短くないモデルライフを乗り切るため、フェイスリフトも実施された。

ライバルは幅広い。ヒョンデ・サンタフェなど、ハイブリッドの7シーターSUVだけでなく、フォルクスワーゲン・マルチバンなどワンボックスとも比較されるだろう。EX90とも比べられるだろうし、ランドローバー・ディスカバリーとも市場は被る。

今回のアップデートで、サスペンションには周波数感応式ダンパー(FSD)を採用。センサーなどを用いるアダプティブとは異なるが、負荷に応じて減衰特性が変化する。

通常は、フロントがコイルスプリングで、リアが横置きのリーフスプリング。だがオプションで、オフロードなどで車高を40mm持ち上げられる、エアスプリングも選べる。

英国仕様のトリムグレードは、コア、プラス、ウルトラの3種類。ガソリンのマイルド・ハイブリッドにはB5、プラグインにはT8が振られる。今回試乗したのは、主にB5 ウルトラだ。

新フロントグリルと11.2インチ・モニター

スタイリングは、主にフロントまわりが一新された。スラッシュのデザインを展開させた新しいグリルを獲得し、ヘッドライトはスリムに。とはいえ、ボクシーなシルエットは変わらない。

美しく落ち着いたインテリアは、概ね従来どおり。レイアウトは考え抜かれ、各機能の操作性は良い。ダッシュボードには、11.2インチの新しいタッチモニターを実装。スカンジナビア・デザインを端々から感じられる。

ボルボXC90 B5 ウルトラ(欧州仕様)
ボルボXC90 B5 ウルトラ(欧州仕様)

インフォテインメント・システムは、グーグルの技術がベースなものの、アップル・カープレイも利用できる。タッチモニターは縦に長いが、カーナビの利用中はマップが横長で表示され、画面の下半分が無駄なように思えた。

実際に押せるハードスイッチのショートカットキーがあり、ナビやメディア、電話などの機能を一発で呼び出せる。エアコンの操作パネルは、その下にあり扱いやすい。

スクエアなフォルムのおかげで、車内空間は広大。3列目でも、身長175cmほどの筆者なら快適に座ることができる。

荷室容量は、3列目も使う場合で302L。T8では、262Lへ狭まる。パワーテールゲートは標準で、バンパーの下で足を動かすと、自動的に開閉してくれる。2列目のシートもフラットに倒すことができ、必要なら広大な荷室空間も生み出せる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事