新ダンパーで乗り心地「大改善」 ボルボXC90 B5へ試乗 高い安心感と成熟度 クラス最有力の1台

公開 : 2024.12.13 19:05

動力性能は充分以上 やや賑やかなエンジン

XC90 B5のパワートレインは、2.0L 4気筒ガソリンターボ。250psと36.8kg-mを発揮するマイルド・ハイブリッドで、0-100km/h加速は7.7秒でこなす。

高負荷時にやや張り詰めたノイズが聞こえてくるものの、数字通り、動力性能は充分以上。殆どの条件で、必要な加速をすぐに得られるはず。四輪駆動で、乾燥した路面でトラクションが失われることはない。ブレーキは強力で頼もしい。

ボルボXC90 B5 ウルトラ(欧州仕様)
ボルボXC90 B5 ウルトラ(欧州仕様)

T8では、スーパーチャージャーとターボチャージャーが組まれた、2.0L 4気筒ガソリンに駆動用モーターが組み合わされる。システム合計での最高出力は467ps。0-100km/h加速は5.5秒を切り、特に中間加速はB5より確実に速い。

これも、高負荷時にはエンジン音が聞こえがち。それでも、電気アシストのおかげでB5より静かではある。

トランスミッションは、8速オートマティック。右足へ軽く力を込め、積極的な加速を求めると、キックダウンの反応が遅れる場面も。だが、普段はDに入れっぱなしで不満はないだろう。

B5の燃費は、カタログ値で11.6km/L。実際には、10.5km/L程度だと考えたい。T8には、14.7kWhの駆動用バッテリーが載り、最大70kmを電気だけで走行可能。こまめに充電すれば優れた燃費を得られるが、電欠時はB5を下回るはず。

乗り心地は大改善 高い安心感と成熟度

乗り心地は、従来のXC90では少し硬すぎる印象もあったが、新しい周波数感応式ダンパーで大幅に改善。スプリングはソフトになり、減衰力は強化されている。快適性は驚くほど上昇しつつ、足取りが軽く感じられるようになった。

荒れた路面でも、ホイールがバタつく様子は減少。うねるような凹凸を通過しても、ボディがフワつく素振りが抑えられ、揺れはサルーンへ近いといえる。ツギハギの多い、市街地の路面にもしっかり対応。ロードノイズも小さい。

ボルボXC90 B5 ウルトラ(欧州仕様)
ボルボXC90 B5 ウルトラ(欧州仕様)

エアサスペンションを組むと、快適性は更に向上する。オフロードの走破性も高まるはず。予算に余裕があるなら、ぜひ選びたい。ただし、通常のサスペンションとの差は従来ほど大きくない。ドライブモードを切り替えても、エアスプリングは変化しない。

ステアリングは安定志向。ロックトゥロックは3回転で、レシオの速さはBMW X5などと同等といえる。反応は素早くリニアで、一貫性がある。

グリップ力は高いが、ステアリングホイールへ伝わるフィードバックは薄め。しかし限界が迫ると、ボルボらしく、安全にドライバーへ実感させてくれる。挙動は予想しやすく、運転の楽しさは高くなくても、安心感と成熟度は高い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事