【詳細データテスト】フォルクスワーゲン・パサート 優れた経済性と使い勝手 最大の競合相手は身内に

公開 : 2024.11.30 20:25

購入と維持 ★★★★★★★★☆☆

新型パサートの最安値は、マイルドハイブリッドのライフグレードの3万8505ポンド(約735万円)で、PHEVのeハイブリッドは4万4105ポンド(約842万円)から。ライフでも装備内容はかなり充実しているが、重要度の高いオプションも用意されている。テスト車と同じエレガンスでは、パノラミックサンルーフなどの豪華装備が加わり、Rラインはスポーティなスタイリングになる。

Eハイブリッドの価格は、かなり競争力のあるもの。スコダ・スパーブと同等で、プジョー508より安い。ボルボBMW、メルセデスなどのプレミアム勢よりはさらに安価だ。

床下の収納スペースがあるなど、PHEVでも似室の妥協は少ない。頑丈なフックやレバーでフラットにフォールドできるシートによって、使い勝手にも優れる。
床下の収納スペースがあるなど、PHEVでも似室の妥協は少ない。頑丈なフックやレバーでフラットにフォールドできるシートによって、使い勝手にも優れる。    JACK HARRISON

EV走行距離は公称129kmで、これに並ぶ競合車はほとんどない。高速道路中心でのテストでは、エンジンがかかるまでに117kmほど走った。電費は5.8km/kWhと、なかなか良好だ。充電時間が短くて済むことを考えると、EVとして使うことも可能だ。もっとも、テストで計測したツーリングや日常走行の燃費が示すように、バッテリーが尽きても経済的だ。

EVモードに入れていても、バッテリーがエンプティになるよりだいぶ前にエンジンがかかって、航続距離テストの試みが妨げられたことも何度かあった。普通に使うなら、そこそこ気になるポイントだろう。しかしこれは、このクルマのコントロールシステムの修正が進めば解決できそうに思える。5分ほど走り出そうとしないことも2度あった。いずれの場合もバッテリーが空だったのだが、それにしても起きてはならないことだ。

車両の保証は3年もしくは9.7万kmで、ハイブリッドバッテリーは8年か16万kmまで容量70%維持が保証される。ほかのメーカーはこれを上回る保証を提供しており、信頼性調査によればMQB使用車はトラブルフリーとは言えない。

記事に関わった人々

  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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