マツダ・ロードスター 1.5 プロトタイプ
公開 : 2015.01.31 23:50 更新 : 2017.05.29 19:13
■どんな感じ?
まず始めに感じる ’身軽さ’ は、小手先の軽量化では成し得ない類のものだ。重心位置から遠いフロントとリアのクラッシュ・ストラクチャーからボンネット、トランク・フード、フロント・フェンダーまですべてがアルミニウムになっていることが、軽量化の大きな理由である。
よって受け入れがたいイナーシャはゼロ。身のこなしは直接的にエンスージァストの心に火をつける。ロック・トゥ・ロック2.5回転のステアリングはまずまずのクイックネスを維持しながらも、しっくりとくる重みをもつ。
切り込んでいってもリニアリティは失われず、結局は最後の最後まで正確かつ一貫性を保つ。物書きとしても、マツダの用いる ”タイヤと心を通わせる” というキャッチには唸らされるものがあり、同時に決して言い過ぎなんかではないと心底から思えた。
そのステリング・フィールについては、われわれお気に入りのルノー・メガーヌ・トロフィーRを超えた、史上最強の電制アシスト・ステアリングだと断言していいだろう。
もちろんメガーヌはFFゆえのトルク・ステアを抱き合わせているのだけれど、仮にロードスターがFF車だったとしたら、そんな瑕疵さえもなかったことにしてくれるのではないかと思える。
心臓部となる1.5ℓユニットの最高出力は132ps。先にデビューしたマツダ3(日本名:アクセラ)のそれと基本は同じであるものの、まったくの新しいユニットだと言われても信じてしまうほど、その棲み分けはきちんとしている。
許容回転数は7500rpmで、マツダのエンジニアは笑顔で限界まで回すことを許してくれた。遠慮なくペダルを踏み込んでみたところ、2000rpmから6000rpmまで最大トルクの90%が供給されつづけるおかげで、これがまぁとんでもなく気持ちがいい。
吹け上がりの速さはかなりのもので、ケータハム・セブン160とはキャラクターが異なるものの、とにかく高らかに回すことがやめられなくなるような仕立てである。
6速のギアボックスは喜ばしいほどにクロース・レシオになっており、短いシフト・ノブにそっと力を入れるだけで、吸い込まれるようにストン、ストンとギアが入ってゆく。これほど気持ちのいいギア・シフトは、他にほとんどないと言っていい。
ABCペダルの重みもこの上なく適切。熱狂的なドライバーなら ”これだ、これだ” と唸らされることになるはずだし、あるいは控えめなドライバーでもすぐに ’仲よく’ なれるはずだ。