リズムを掴めばひたすら楽しい! ランチア・フルビア・クーペ(2) 英スタッフを夢中にする活発さ

公開 : 2024.12.14 09:46

今でも現実的な価格で探せるフルビア・クーペ ラリーで活躍したバンク角13度のV4エンジン スピード感は実際以上 リズムを掴むとひたすら楽しい 英編集部の愛車でスコットランドへ

ボディは再塗装 タイヤ交換で見違えた操縦性

イタリアから運んできた、ランチアフルビア・クーペ・シリーズ3 1.3S。ブルー・アニャーノのボディは、スコットランド・エジンバラのGBLモーターズ社へ再塗装に出した。事前に、自分でフロアの古い防音材は外し、接着剤の汚れなどは磨いておいた。

ドアの内装は、少し前にイタリア製の新品に張り替えた。シートベルトには、安全性を考え慣性リールを追加してある。新しいカーペットや防音材は購入済み。天井の内張りも確保しているが、まだ自宅の物置にしまったままだ。

ランチア・フルビア・クーペ・シリーズ3 1.3S(1974年式/欧州仕様)
ランチア・フルビア・クーペ・シリーズ3 1.3S(1974年式/欧州仕様)

購入時に履いていたアルミホイールはカッコ良かったが、幅がオリジナルより広く、タイヤがフェンダーに擦れることがあった。タイヤも古かった。現在は、前オーナーから譲り受けたスチールホイールを磨き、ミシュランXASタイヤを組んでいる。

サイズを落としたタイヤへ交換したことで、ステアリングの感触や乗り心地は大幅に改善した。グリップ力も高くなり、操縦性が見違えた。

グレートブリテン島を走り出して起きた機械的な不調は、ブレーキ・マスターシリンダーからフルードが漏れたことくらい。2021年に交換している。

快活に回るV4エンジン スピード感は実際以上

というわけで、ほぼ仕上がった自分のフルビア・クーペで、今回はスコットランドの道を巡ってみようと思う。モデル名の由来となった、イタリア・フルビア街道のつもりで。

1298ccのV4エンジンは、独特の吸気音を奏でながら快活に回る。僅かに、金属的な響きも重なる。大人2名と撮影機材を載せ、クルマの重さは2割増しだが、加速の積極性には改めて驚く。ボディの小ささとサウンドの明瞭さで、スピード感は実際以上だ。

ランチア・フルビア・クーペ・シリーズ3 1.3Sを運転する筆者、リチャード・ウェバー
ランチア・フルビア・クーペ・シリーズ3 1.3Sを運転する筆者、リチャード・ウェバー

1速が横に飛び出た、ドッグレッグ・パターンを辿るシフトレバーはストロークが長い。それでも、ゲート間の動きは滑らか。ギア比はショートで、程よくクロスしている。3速と5速を行き来するのが気持ちいい。

0-100km/hダッシュは、1974年にAUTOCARが実施したテストでは11.9秒と、際立つ数字ではない。市街地では、5速のままでは苦しい。110km/hでエンジンは4000rpmに迫り、正直なところうるさい。高速道路の巡航は、少し疲れる。

だがスコットランドには、ラリーのスペシャルステージにも望ましいような、手応えのある一般道が多い。絶景も拝めるし、フルビアにぴったりだと思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・ウェバー

    Richard Webber

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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