「洗練度」が期待に届かず マツダCX-80 2.5 PHEVへ英国試乗 キラリと光る3.3Lディーゼル

公開 : 2024.12.12 19:05

7シーターSUVのCX-80が英国に上陸 2.5L直4のプラグインHVは総合327ps 上級グレードの内装は印象的 洗練度が高いといえないパワートレイン 乗り心地は期待に届かず 英編集部が評価

2.5L直4のプラグインHV 総合327ps

マツダの7シーターSUV、CX-80の販売が欧州でも始まる。ひと足早く、英国編集部は右ハンドルの試作車をお借りできた。仕上がりは99%とのことで、ほぼ量産内容にあるといえる。

独自路線を選びたがる同社らしく、CX-80には3.3L直列6気筒ディーゼルエンジンが設定される。筆者は、このユニットが気に入っている。マイルド・ハイブリッドで、燃費は良好。トルクが豊かで扱いやすく、洗練性も高い。

マツダCX-80 2.5 e-スカイアクティブPHEV AWD エクスクルーシブライン(英国仕様)
マツダCX-80 2.5 e-スカイアクティブPHEV AWD エクスクルーシブライン(英国仕様)

さらに、2.5L直列4気筒ガソリンのプラグイン・ハイブリッドも用意される。最高出力は、3.3Lディーゼルで218psだが、こちらはシステム総合で327psを発揮する。

トランスミッションは、電子制御クラッチを備える8速オートマティック。四輪駆動が標準となる。ベースとなったCX-60は、乗り心地が褒めにくかったが、CX-80ではシャシーに調整を加え改善したという。

プラグイン・ハイブリッドの構成は、自然吸気エンジンと8速ATの間に、175psの駆動用モーターを組んだもの。駆動用バッテリーは17.8kWhで、電気だけで最長61kmを走れると主張される。

見た目は、ホイールベースが3120mmへ伸びたCX-60、と表現して問題ないだろう。僅かに背は高いが、正面からは見分けがつかないはず。フロントグリルやヘッドライト、バンパーは同一とのこと。

全長は4990mmで、CX-60より245mm長い。彫刻的なボディサイドの効果は薄まっているが、3列シートのSUVの中ではハンサムだと思う。

上級グレードの内装は印象的 ハードスイッチ多数

シートレイアウトは、キャプテンシートでセンターコンソールの有無を選べる6シーターか、ベンチシートの7シーターを選択可能。センターコンソールなしのキャプテンシートが、車内の移動はしやすいはず。3列目にも、USB-Cポートが備わる。

リアドアは伸ばされ、開く角度が広げられ、乗降性にも配慮されている。とはいえ、CX-60より広い2列目を前方へずらし倒しても、3列目への乗り降りは少し大変。空間もさほど広くない。大家族なら、ヒョンデ・サンタフェと良く比較した方が良いだろう。

マツダCX-80 2.5 e-スカイアクティブPHEV AWD エクスクルーシブライン(英国仕様)
マツダCX-80 2.5 e-スカイアクティブPHEV AWD エクスクルーシブライン(英国仕様)

プレミアム・ブランドへのステップアップを目指すだけあって、内装の質感は高い。特に上級トリムグレードを選ぶと、感心するほど高級な素材で仕立てられる。メープルウッドの化粧トリムに、ホワイトのナッパレザーを合わせた魅力度は相当だ。

他方、試乗車はエクスクルーシブライン・グレードで、素材に特別感は薄かった。プラスティック製の部品はソリッドながら、内装の統一感は期待には届いていないように思う。

人間工学的なレイアウトは良好。ダッシュボードには実際に押せるハードスイッチが沢山並び、インフォテインメント用にロータリーコントローラーもある。走行中でも、エアコンやナビの調整はしやすいといえる。

タッチモニターは、停止中のみ指で触れて操作でき、走行中は反応しない。安全面で賢い判断だと思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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