「洗練度」が期待に届かず マツダCX-80 2.5 PHEVへ英国試乗 キラリと光る3.3Lディーゼル

公開 : 2024.12.12 19:05

洗練度が高いとはいえないパワートレイン

それでは公道へ出てみよう。2.5Lプラグイン・ハイブリッドは、英国でのCX-80の販売で、大半を占めると予想されている。だがマツダは、電動化技術の経験が深くない。上級至高という括りを抜きに、大型SUVとして、洗練度が高いとはいえなさそうだ。

EVモードを選択すると、駆動用モーターだけで走行でき、低い速度域では扱いやすい。
しかし、ウィーンという唸りが車内へ響くうえ、電気だけで走れる距離は現実的に48km程度だ。

マツダCX-80 2.5 e-スカイアクティブPHEV AWD エクスクルーシブライン(英国仕様)
マツダCX-80 2.5 e-スカイアクティブPHEV AWD エクスクルーシブライン(英国仕様)

2.5L 4気筒ガソリンエンジンは、回転時の振動が少し目立つ。ノイズも小さくなく、充分なトルクを得るには高めの回転数へ引っ張る必要があり、若干の粗さも感取される。

2025年を凌ぐ技術として、物足りないことは否めない。システムがパワフルなことは、間違いないのだが。

8速ATの変速も、シームレスとはいえない。高めの速度域を保った運転が、面白いと感じられるタイプではないだろう。また、長距離ドライブの場合は燃費も褒めにくい。11.5km/L前後と考えて良さそうだ。

パワートレインは、3.3Lディーゼルの方が好印象。BMWの同等ユニットほど上質ではないものの、扱いやすく、CX-80をキビキビと走らせる。高速道路を巡航させれば、17.5km/L近い燃費も得られる。

乗り心地は期待に届かず 操縦性は良好

CX-60より優れた乗り心地を求めて、CX-80ではリアのアンチロールバーを除去。コイルスプリングをソフトにし、快適性を高める努力がなされた。サブフレームのブッシュや、フロントのウイッシュボーンの形状は調整され、操縦性も穏やかになっている。

それでも、傷んだグレートブリテン島のアスファルトを、快適に走れるとは表現しにくい。フワフワと、若干落ち着きに欠ける印象が伴う。滑らかな道をゆったり走らせている限り、サスペンションが優しく上下し、心地良いのだけれど。

マツダCX-80 2.5 e-スカイアクティブPHEV AWD エクスクルーシブライン(英国仕様)
マツダCX-80 2.5 e-スカイアクティブPHEV AWD エクスクルーシブライン(英国仕様)

ステアリングの反応はダイレクト。引き締まった姿勢制御で、後輪駆動に近いフィーリングがほのかに香る。ボディサイズの大きさを、忘れることはないとしても。

このクラスのSUVとして、操縦性のバランスには優れている。細めのリムのステアリングホイールには、路面の感触やサスペンションの負荷状態も伝わってくる。マツダらしい強みといえるが、及ばない面を補うと感じるかどうかは、意見が分かれそうだ。

最大牽引重量は、2500kgまで。リアカメラには、トレーラーヒッチ・ビュー機能が備わり、連結時の助けになる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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