新顔ベルランゴにディーゼルミニバンの底力を見た【新米編集長コラム#10】
公開 : 2024.11.30 11:45 更新 : 2024.11.30 13:09
8月1日よりAUTOCAR JAPAN編集長に就任したヒライによる、新米編集長コラムです。編集部のこと、その時思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第10回はマイナーチェンジで顔の変わったシトロエン・ベルランゴの話です。
やっちゃったシトロエン?
あれ? どうしたシトロエン。やっちゃえ○○ではなく、やっちゃったシトロエンか? というくらい違和感を覚えたのは、最近フランスで発表された新型シトロエンC3の画像を見たときだ。ちなみにEVがC3、ハイブリッドモデルがC3エアクロスと呼ばれるらしいがそれはさておき、杉良太郎ばりの流し目もサイドのエアバンプもすっかりなくなって、アクの強いデザインに様変わりしているではないか。いや、元々シトロエンのアクは強いか……。
そんなシトロエンの新しいデザイン言語は2022年パリ・サロンで発表された『オリ・コンセプト』で示されていて、そういえばコロナ禍以降、海外モーターショーにもすっかり行かなくなったので、そのあたりを追い切れていなかったなぁと反省しつつ、日本では新顔シトロエン第1弾となる、マイチェン版『ベルランゴ』の7人乗りモデル『マキシ・ロング・ブルーHDi』をお借りして取材した。
ベルランゴは元々使い勝手も長距離移動能力も素晴らしく、聞けばデビュー以来C-MPVセグメントでトップシェアとなる30%前後を販売しており、すっかり日本でも定着している。そういえば最近街中でだいぶ見かけると感じていたのだが、気のせいではなかった。
グリーン・シルカという深緑が渋すぎ
さて実車のベルランゴであるが、よく言えば大人、はっきり言えば普通の外観になったなぁというのが第一印象。グリーン・シルカという深緑が渋くて、大人っぽさに拍車をかけている。美点は相変わらずだ。収納場所は多いし、テールゲートは窓だけあくから便利だし、2列目シートを倒した時に低い位置で荷室とフラットになるあたりは、こういったMPVを長年作ってきた欧州車らしい部分だ。
気になるところもある。まずナビがついていないのでスマホ接続を前提とする必要があること、アームレストの角度が固定で調整できないこと、オートホールドがついていなこと、メーターの切り替え方法がわからないこと、などだ。しかしいずれも、欠点ではなく、あくまで好みの話。十分に割り切れる内容だ。
特にナビは、アップル・カープレイやアンドロイド・オートのデキがとてもよいので、個人的には標準ナビがあっても接続することもあるくらいだ。ナビを付けないことで車両価格が安くなるなら、そもそもなしでいいと思う。
今回はそれなりに長距離移動もさせて頂いたが、とにかくよく走る印象。130psしかない1.5リッターディーゼルターボという何の変哲もないユニットだが、1660kgの車重が軽く感じるほど軽快だ。もちろん空荷状態であること、そして電動化モデルを中心に最近車重の重いクルマが多いことも無関係ではないが、それでも気持ちよく走れるのである。
7人乗りのロングでホイールベースが2975mmもあるから高速の乗り心地も落ち着いているし、意外や意外、結構ちゃんと曲がってくれて、鼻先が入っていくのに驚いた。シートも疲れが少なく、8速ATだから走行マナーもいい。高速を走行中に『走行可能距離900km』という表示をみたときは、ディーゼルミニバンは長距離最強と改めて感じた次第だ。