ヒョンデ・アイオニック9 試作車へ試乗 ブランドを加勢する7シーターSUV 高い説得力を獲得?

公開 : 2024.12.03 19:05

カーブで物理の法則を実感 サイズの割に扱いやすい

サスペンションは、前後ともツインバルブダンパーが組まれたマルチリンク。スポーツ指向ではなくコンフォート指向で、乗り心地は落ち着いていた。砂漠は走れなかったが、少なくともコース上の荒れた路面では、優れた処理能力を披露した。

試乗はオーバルコースに限られ、コーナリングの印象は充分に確かめられなかった。それでも巨大な電動SUVだから、ワインディングが得意分野、ということはないだろう。急ブレーキを踏んでも、ボディが大きく沈むようなことはなかったが。

ヒョンデ・アイオニック9(プロトタイプ)
ヒョンデ・アイオニック9(プロトタイプ)

カーブへ積極的に突っ込むと、動きに合わせて重心が前後左右へ移動し、物理の法則を実感する。だが、ピッチやロールは生じるものの、その傾きは限定的。全体的には安定性が高く、大型SUVとしては扱いやすいようだ。

後輪操舵システムが備わるが、立体駐車場などで威力を発揮する技術といえる。アイオニック9で、鋭い旋回を望むユーザーは少ないだろう。

アクティブサウンド機能が実装され、遮音性は見事。サスペンションの動作音もほぼ聞こえない。160km/hまで加速してみたが、流石にこの速度域では風切り音が目立ちだす。こんな速さが許される道は、極めて限られるけれど。

シングルモーター仕様は車重が2.5tへ軽くなるが、最高出力は218ps。比べると非力に思えるかもしれないが、恐らく日常的に不満を感じることはないだろう。価格は安く、電費は5.6km/kWhへ伸びる。こちらの方が、より高い支持を集めるはず。

説得力の高いモデルに仕上がる可能性

現在の市場で、7シーターを備える大型の電動SUVは種類が少ない。競争が厳しいとはいえないものの、アイオニック9は実用性や航続距離、快適性などを強みとして得ることになるだろう。

量産仕様へ試乗するまで、具体的な評価はできない。しかし写真の限り、デザインは好印象。試作車の印象を踏まえると、説得力の高いモデルに仕上がる可能性は高い。

ヒョンデ・アイオニック9(プロトタイプ)
ヒョンデ・アイオニック9(プロトタイプ)

◯:長距離走行の快適性が優先されたシャシー 巨大なバッテリーで得る航続距離 素早く安定した走り
△:英国では大きすぎるであろうサイズ パワフルなツインモーターは電費が良くない

ヒョンデ・アイオニック9(プロトタイプ)のスペック

英国価格:約6万5000ポンド(約1268万円)から(予想)
全長:5060mm
全幅:1980mm
全高:1790mm
最高速度:−km/h
0-100km/h加速:−秒
航続距離:495km(予想)
電費:4.5km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:約2700kg(予想)
パワートレイン:ツインモーター
駆動用バッテリー:110.3kWh
急速充電能力:−kW
最高出力:435ps
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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