【改善の余地なし】4代目ベントレー・フライングスパー・スピードは超絶クオリティの4ドアスーパースポーツだった!

公開 : 2024.12.04 12:45

4代目となったベントレー・フライングスパー・スピードを山崎元裕がアメリカ・アリゾナで試乗しました。タイトルのどおり改善の余地がないほどの仕上がりだったようです。詳しくレポートします。

アリゾナのプレゼンで最初に触れられたこと

ベントレーが、先進的かつ革新的な経営目標を盛り込んだ20年間にわたる長期戦略『ビヨンド100』戦略を発表してから約4年という時間が経過した。

そのビヨンド100戦略をさらに進化させた『ビヨンド100+』戦略が発表されたのは2024年11月半ばのことだったが、ベントレーの会長兼CEOであるフランク・ステファン・ヴァリザー氏によれば、それは2030年以降のさらに高い目標を目指す指針であり、2035年までに自社製品の完全電動化を実現するための新たな戦略にほかならないという。

アリゾナで開催されたベントレー・フライングスパー・スピードの国際試乗会。
アリゾナで開催されたベントレー・フライングスパー・スピードの国際試乗会。    ベントレー

今回私は、2024年9月に発表された新型フライングスパー・スピード、初代モデルから数えれば第4世代に相当する新作を試乗するために、アメリカのアリゾナ州スコッツデールを訪れたが、そのプレゼンテーションで最初に触れられたのは、このビヨンド100+戦略の詳細と進捗状況だった。

あらゆる意味でベントレーの将来を占うことができるニューモデル

現在のベントレーは、すでにラグジュアリーハイブリッドカーの先駆者としてのポジションを築いており、それをさらに確固たるものとするためにPHEVモデルのライフサイクルを、これまでの2030年から2035年まで延長。この間、2026年までにはBEVモデルの発表も行われる予定で、これは『ラグジュアリーアーバンSUV』という新セグメントを創出する期待の新型車になるという。

もちろんこのビヨンド100+戦略に対応して、クルーの本社やそれに併設される工場の近代化も、次世代の製品と従業員の未来を確保するにあたっては大切な課題だった。『ドリームファクトリー』と呼ばれるその新工場は、メインエントランスに併設されるデザインセンターを中心に、いずれも最新の設備を誇るもの。

コンチネンタルGTと同様、フライングスパーもハイスペックの『スピード』を先に発売。
コンチネンタルGTと同様、フライングスパーもハイスペックの『スピード』を先に発売。    ベントレー

当然のことながらそれは業界をリードするカーボンニュートラル認証施設であり、またベントレーとしては、これまでで最大規模の自己資金による投資を行って建設された。あらゆる意味でベントレーの将来を占うことができるニューモデル、新型フライングスパー・スピード。その走りはどれほどの進化を遂げているのだろうか。さっそく現地からのレポートをお届けしよう。

ベントレーというブランドが醸し出す独特な世界観

アリゾナの地でファーストコンタクトとなった新型フライングスパー・スピードは、やはりそれを目にした瞬間から、ベントレーというブランドが醸し出す独特な世界観に引き込まれる造形に魅了されるモデルだった。印象的なのはボンネットから前後のドアを経てリアフェンダーへと至るシャープなラインの構成で、とりわけリアフェンダーと22インチ径タイヤのコンビネーションには、フットワークの力強さが巧みに演出されている。

ベントレーのスタッフは、この新型フライングスパー・スピードを『4ドアスーパースポーツ』という言葉で例えてみせたが、スペックシートに記載された数字を見れば、その表現もあながち大げさなものではないことが想像できる。

ボンネットから前後のドアを経てリアフェンダーへと至るシャープなラインの構成が印象的。
ボンネットから前後のドアを経てリアフェンダーへと至るシャープなラインの構成が印象的。    ベントレー

これまで高性能な6L W型12気筒ツインターボエンジンをフラッグシップモデルに搭載してきたフライングスパー・スピードだが、今回それは4LのV型8気筒ツインターボにエレクトリックモーターを組み合わせたPHEVの『ウルトラパフォーマンスハイブリッド』に変更された。

システム全体の最高出力である782psはW12のスペックと比較して19%、最大トルクの1000Nmは同様の比較で11%の強化という結果になる。バッテリーの搭載量は25.9kWhで、最大76kmのEV走行を可能にする。組み合わせられるミッションは8速DCT。駆動方式は前後駆動力配分を常に最適値に制御するフルタイム4WDだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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