【改善の余地なし】4代目ベントレー・フライングスパー・スピードは超絶クオリティの4ドアスーパースポーツだった!

公開 : 2024.12.04 12:45

その雰囲気はまさに最高級サルーン

まずはドライブモードで『B』を選択しドライブを始める。バッテリーの充電量は100%であったため、グロスウエイトで3215kgにも達する重量級のサルーンではあるが、まずは190psの最高出力と450Nmの最大トルクを発揮するエレクトリックモーターによってスムーズに加速していく。その雰囲気はまさに最高級サルーンのそれだ。

車速が140km/hに達するか、アクセル開度が75%を超えるとV8ツインターボエンジンも始動し、ここからは文字通り4ドアスーパースポーツの走りが楽しめる。シャシーバランスは優れており、アクティブトルクベクタリング付きの電子制御LSD、ツインバルブダンパーを備えるダイナミックライドコントロールによる制御もまた巧みだ。ステアリングは『B』モード、あるいは『コンフォート』モードではセンター付近にややダルな領域を感じるものの、『スポーツ』モードではその印象も薄くなる。常に正確で俊敏なハンドリングが楽しめるのだ。

車速が140km/hに達するか、アクセル開度が75%を超えるとV8ツインターボも始動する。
車速が140km/hに達するか、アクセル開度が75%を超えるとV8ツインターボも始動する。    ベントレー

走行可能距離は829km

テストドライブのルートには、ハイウエイからワインディングロードまで、さまざまなシチュエーションが用意されていたが、その中で印象的だったのは下り坂やブレーキング時に運動エネルギーを電力に変換し再びバッテリーに蓄える、いわゆるエネルギー回生の巧みな制御だった。

新型フライングスパー・スピードではさらに、低負荷時のハイウエイではコースティング機能、すなわちエンジンの回転をストップし空走状態とする制御も加わるため、その燃費性能は前で触れたパフォーマンスから想像する以上に高い。ベントレーが発表したデータによれば、そのトータルレンジ(走行可能距離)は829km。今回は500kmほどのルートを試乗してみたが、確かにドライブを終えた時に見た燃料計は、まだかなりの余裕を残していた。

リアシートの快適さは、もちろんフライングスパー・スピードが誇る大きな特長だ。
リアシートの快適さは、もちろんフライングスパー・スピードが誇る大きな特長だ。    ベントレー

リアシートの快適さは、もちろんフライングスパー・スピードが誇る大きな特長だ。ルーフラインがやや後方に向かって傾いているため、外観からはヘッドクリアランスの余裕に一抹の不安を感じたのだが、実際にリアシートに着席してみれば、フットスペースとともに空間の余裕は十分に得られていることが確認できた。

そして何よりの嬉しさは、ドライバーやパッセンジャーを包み込む柔らかく高級な素材で統一されたインテリアのフィニッシュだろう。試乗車にはさらにオプションでツインのブラインドを備えるパノラミックグラス&サンルーフやウェルネスシートなども装備され、キャビンはまさに贅沢の極致ともいえる仕上がりだった。7210ユーロのオプションという、Naim製のオーディオシステムのサウンドを楽しむことを忘れてしまったのは残念だったが。

新型フライングスパー・スピードは、間違いなくスーパースポーツ級の速さを持ち合わせる、そして世界最高級のクオリティで仕上げられた4ドアサルーンだ。はたしてそれにさらなる改善の余地はあるのか。その答えはどれだけ考えても見つけることはできなかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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