袖を通したような「一体感」 ロータス・エリート(2) 悪評ばかり聞こえた4シーターの重要モデル

公開 : 2024.12.15 17:46

上級グランドツアラーが目指された4シーターの2代目エリート オイルショックの女神になった4気筒エンジン 信頼性や品質を理由に評価は急低下 ブランドの重要モデルを英編集部が振り返る

タイプ75は501から504の4種 1980年からタイプ83

2代目ロータス・エリート、タイプ75には当初、3種類のグレードが設定された。501がベースモデル。ひとつ上の502には、マーカサイト・トリムにエアコン、カセットテープ・デッキ、ティンティッドガラス、ハロゲンライトなどが与えられた。

503は、更にパワーステアリングを獲得。1975年には、ボルグワーナー社製のATを搭載した、504も登場している。1982年までに合計2402台のエリートが販売されたが、好調だったのは初年度で、687台が提供されている。

ロータス・エリート・タイプ83(1980〜1982年/英国仕様)
ロータス・エリート・タイプ83(1980〜1982年/英国仕様)

他方、1975年にはエリートをベースにした、クーペボディのエクラが登場。同じく2名ぶんのリアシートを備えており、人気の一部を奪ったと考えられる。

1980年にはシリーズ2.2と呼ぶべき、後期型のエリート・タイプ83が登場。大きなフロントスポイラーと、ローバーSD1シリーズ譲りのテールライトが与えられ、バックボーン・シャシーは腐食を抑える亜鉛メッキが施された。

4気筒エンジンは、2174ccへボアアップされ、タイプ912へ改名。22.0kg-mの最大トルクと、162psの最高出力が引き出された。

同時に、501から504までのグレード分けは廃止。オプションリストから、好きな装備を追加できるようになった。また5速MTは、それ以前は自社製だったが、ゲトラグ社製へ変更されてもいる。

英国価格の上昇に伴い、エリートの販売は徐々に減少。1982年までに提供されたタイプ83は、合計で133台に過ぎない。

ボディロールは皆無 アンダーステアに耐える

今回ご登場願った3台のエリートの内、シルバーの1台は1976年式のタイプ75で501。現在のオーナーはマイク・クリフォード氏の妻で、親族が新車で購入し、レストアを必要としないコンディションを維持してきたという。

「オリジナルのボディカラーはグリーンでした。妻の叔父が、シルバーに塗ったようです。501は75台くらいしか作っていないらしく、かなりレアなエリートですよ」。と話すクリフォードも、相当気に入っている。

ロータス・エリート・タイプ83(1980〜1982年/英国仕様)
ロータス・エリート・タイプ83(1980〜1982年/英国仕様)

「でも、娘は乗りたがらないんです。車高が低すぎるので、SUVと比べると異質な体験だからでしょう」

ベーシックなインテリアは、状態が良い。オプションのパワーステアリングは少し軽すぎるから、備わらないことはメリットかも。実際、ノンアシストでも駐車場での取り回しには困らない。

ボディロールはほぼ皆無。アンダーステアにも素晴らしく耐え、カーブを小気味よく巡れる。満足のいくトルクが生まれるのは、2500rpm以上から。サウンドは、間違いない4気筒。それ以上の回転域を保てば、501のエリートはエネルギッシュだ。

ロータス社製の5速MTは、信頼性に疑問が残る。しかし、トルクは19.3kg-mと控えめ。3速と5速のゲートは近いが、シフトレバーは軽く正確に倒せる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ロータス・エリートの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事