えっ、これがジャガー? 2000万円超の高級EVブランドへ 新型「タイプ00」が示す道とは

公開 : 2024.12.04 18:05

ミニマルだが斬新なインテリア

インテリアは、レザーではなく、クヴァドラ(Kvadra、デンマークのブランド)のようなモダンで持続可能なテキスタイルを採用している。クリーム色を基調とする2人乗りのキャビンで、ステッチの目立たないエレガントなバケットシートが2脚並ぶ。また、センターコンソールには「トラバーチン・ストーン」と呼ばれる本物の石の化粧板が貼られ、前後を貫くようにして真鍮の背骨が走っている。

コントロール類と計器類は、最小限のミニマルなデザインに抑えられている。インテリアデザインのチーフであるトム・ホールデン氏は、「エクステリアと同様に、展開可能なテクノロジーがインテリアの特徴だ」と語る。

ジャガー・タイプ00コンセプト
ジャガー・タイプ00コンセプト    ジャガー

ドアの開閉は、長いパノラマルーフの隣にあるルーフコンソールで行う。またドライブモードはスイッチで選択するのではなく、真鍮のトークンをセンターコンソールのスロットに差し込んで選択する。

美しい部分もあれば、ギミック的な機能もある。エクステリアとは異なり、こうしたインテリアが2026年の量産モデルにどれほどの影響を与えるかはまだわからない。

「新しいジャガー」

タイプ00は「Copy Nothing(何も真似しない)」というフレーズを掲げているが、これはジャガーの創設者であるウィリアム・ライオンズ卿の使い古された言葉を再び引用したものである。

また、ブランドの新たなシンボルとなる「Device Mark」、「Strike Through」、「Maker’s Mark」を随所に採り入れている。

ジャガー・タイプ00コンセプト
ジャガー・タイプ00コンセプト    ジャガー

新しい「jaGuar」のロゴは小文字と大文字が混ざっているが、タイプ00にはよく似合っている。また、前述したように、Strike Throughはフロントエンドとリアエンドに紛れもない「新しいジャガー」のアイデンティティを与えている。サイドには真鍮のリーパー(跳躍するヒョウ)が添えられ、「JR」のモノグラムがホイールセンターを飾る。数週間前に多くの批評家が想像していたよりも、はるかにうまくまとまっている。

多くの点で、タイプ00のデザインは、6年前に発売されたジャガー初の量産EVであるIペイスのプロポーションと真っ向から対立している。Iペイスでは躍動感(その結果としての短いノーズ)を強調し、それをSUVとしてブランド化することに力を注いだ。これにより、床下にバッテリーを搭載するための十分なスペースを確保し、流線型でありながらも車高の高い形状を実現した。新世代のジャガーが、低い姿勢を維持しながらバッテリーをどのように搭載するのかはまだ明らかになっていない。

車高の低さは、前面投影面積を小さく抑えることにつながり、優れた空力性能を実現するだろう。

しかし、空力性能ばかりが優先事項ではないようだ。ジャガーのマネージングディレクターであるラウドン・グローバー氏は、「風洞実験に長時間かけすぎた」結果として多くの現行EVで見られるような、古風でやや陳腐な車高の高い形状を避けることが重要な目標であったと語っている。これは、ジャガーが主張する「大胆な創造性」をデザインに反映させるための手法だ。

記事に関わった人々

  • スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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