「電動の後輪駆動」で一新 アウディA6 e-トロン・アバントへ試乗 380psに703km! 突出の洗練度
公開 : 2024.12.04 19:05
突出した洗練度 ダイレクトなステアリング
A6 e-トロン・アバントを発進させると、このクラスのアウディへ期待する通り、滑らかで心地良い。プレミアムブランドの中で考えても、突出して洗練された印象を受ける。操縦性のまとまりも高く、感動を覚えたほど。
試乗車にはエアサスペンションが組まれ、路面の不整を優しく均しつつ、落ち着いた姿勢制御を実現していた。しかし、選択される割合いが低いという理由で、英国仕様には設定されないようだ。
試乗車のパフォーマンス Sラインで特筆すべきは、ステアリング。切り込んでいくと、シームレスに手へ掛かる重さが変化し、グリップ状態も伝わってくる。反応は正確で、車線の中央を維持しやすい。
BMWやポルシェのステアリングフィールも素晴らしい。だが、ダイレクト感はA6 e-トロンの強みといえる。
動力性能は、380psと57.5kg-mの数字通り不満なし。滑らかなパワー感が、満たされた気持ちを生む。それでいて、全力時でもクルマ酔いするほど鋭いわけではない。後輪駆動ながら、落ち着きを乱すこともない。
高速道路への鋭い合流時には、どんな挙動を示すのだろうか。荒れた路面の、雨がちなグレートブリテン島で試すのが楽しみだ。
ブレーキペダルの感触は、制動力を引き出しやすく好ましい。ダイナミック・モードの効きを筆者は気に入った。
回生ブレーキは、ステアリングホイール裏のパドルで強さを2段階から選べる。状況に応じて変化するアダプティブ・モードと、コースティング・モードもある。どれも予測しやすい制御で、不安感はなかった。
クラストップの航続距離と急速充電で高支持?
カメラを利用した、バーチャルサイドミラーはオプション。ダッシュボード両サイドに備わるモニターの位置が高く、大幅に見やすくなった。それでも、これまでの鏡の方が、確認しやすいことは事実だ。
A6 e-トロン・アバントの英国価格は、6万4300ポンド(約1254万円)から。かなりお高いが、同等のライバル、i5 ツーリングやメルセデス・ベンツEQEなどと、大きく違うわけではない。
今回試乗した、パフォーマンス Sラインが英国では人気だと予想されるが、7万5200ポンド(約1466万円)へ上昇する。これに、パノラミックルーフやマット塗装を選ぶと、8万ポンド(約1560万円)を超えるはず。
クラストップの航続距離と急速充電能力、素晴らしく居心地良いインテリアを踏まえれば、価格価値は悪くない。荷室が狭いことは否めないが、デジタル技術的な水準は高い。内装の高級感や操縦性、積載量では、i5 ツーリングが有利ではあるとしても。
コイルスプリング・サスペンションのA6 e-トロンがどんな乗り心地なのか、期待は膨らむ。完成度が高いことは間違いなく、その快適性が顕著に低くない限り、英国では多くの支持を集めるのではないだろうか。
◯:動力性能と航続距離 ライバルと並ぶ価格 扱いやすく落ち着いた操縦性
△:エアサスペンションと四輪駆動はトップグレードのみ 広くないアバントの荷室
アウディA6 e-トロン・アバント・パフォーマンス Sライン(欧州仕様)のスペック
英国価格:7万5200ポンド(約1466万円)
全長:4928mm
全幅:1923mm
全高:1527mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:5.4秒
航続距離:703km
電費:6.6km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2185kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:94.9kWh
急速充電能力:270kW
最高出力:380ps
最大トルク:57.5kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)