アウトバーンで300km/h超へ マセラティMC20 長期テスト(3) 感動的に快適な乗り心地

公開 : 2024.12.22 09:45

アストン マーティンに並ぶグランドツアラー

途中、サービスエリアへ。湯気をうっすら漂わせながら、大型トラックの横でガソリンを補充する。タンクは60Lと小さいから、あっという間に満タン。110km/hを維持すれば、燃費は11.3km/L。640km程度は走れる。

しかし、それには辛抱強い心が必要。実際は、500kmが良いところ。フェイスリフトの時に、80Lへ拡大して欲しい。

マセラティMC20(英国仕様)
マセラティMC20(英国仕様)

7時間ほど運転を続けて、前泊。翌朝にもう少し走らせて、フランクフルトへ到着した。

印象的だったのが、身体がどこも痛くならなかったこと。上級サルーンでも長時間運転すれば、大抵はどこかがこるものだ。酷い時は短時間でも。これには驚いた。一方で、車内のノイズは小さくない。うるさい程ではないけれど。

グレートブリテン島へ戻る途中は、アウトバーンで300km/h以上を目指してみた。290km/hを超えても、まだ加速には勢いがあった。ところが、多くのドイツ車が249km/hでリミッターが掛かるように、305km/hで頭打ちになった。

マセラティは、最高速度328km/hを主張している。明らかに、305km/h以上へ届いただろう。ちょっと納得できなかった。

3日間に走った距離は、約1300km。乗り心地は感動的に快適で、長時間でも運転しやすく、悪天候でも頼もしいスーパーカーだと知れたことは、大きな収穫といえる。疲れは最小限といえ、残響が頭に残るほど賑やかなわけでもなかった。

走り込んで汚れたボディも美しい。MC20は、アストン マーティンに肩を並べるグランドツアラーだ。

積算1万6995km MC20の全幅はほぼ2m

MC20を自宅前の車寄せへ停めた直後、近所の人が明日はゴミの日だと教えてくれた。この全幅は、ドアミラー抜きで1965mm。いつもやってくるゴミ収集トラック、デニス・イーグルの幅は2.5m位ある。

車道自体の幅は4mちょっとと狭いのだが、充分な幅の路肩がある。翌朝確認したが、MC20のボディはもちろん無傷だった。

マセラティMC20(英国仕様)
マセラティMC20(英国仕様)

積算1万7252km 先端がシャープなサイドシル

MC20のサイドシルは、ワイドでカッコいい。しかし、ドアを開くとシャープな先端が露出し、足首に当たって痛い思いをすることがある。これまで2回、そんな事があった。

斜め上方へ開くシザーズドアも、路肩へ寄せすぎていると縁石に当たりそうになる。ボディを飾るカーボンファイバー製トリムはオプションで、3万6240ポンド(約706万7000円)もするから、常に気は抜けない。

マセラティMC20(英国仕様)
マセラティMC20(英国仕様)

テストデータ

気に入っているトコロ

ノーズリフト機能:起伏が大きく、石畳が広がるフランスの道では、ノーズリフト機能は不可欠。驚くほど心配が小さくなる。

気に入らないトコロ

オーブン状態の荷室:マフラーの直上にある荷室の中は、恐らく走行中は50度を超えているはず。フランスからお土産のチーズを運ぶのに、適した場所ではない。

英国価格

モデル名:マセラティMC20(英国仕様)
新車価格:22万2025ポンド(約4329万円)
テスト車の価格:31万735ポンド(約6059万円)

テストの記録

燃費:7.4km/L
故障:なし
出費:なし

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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