ヤリス・クロスの韓製ライバルの実力は? ヒョンデ・バイヨンに試乗 6速MTで軽快な走り!

公開 : 2024.12.20 19:05

6速MTがハイライト 想像より硬めの乗り心地

さて、路上へ出てみよう。バイヨンの1.0Lターボエンジンは、マイルド・ハイブリッドでもない。アクセルペダルに対する反応はやや鈍く、パワーデリバリーは遅れ気味。ターボラグも目立つ。だが市街地だけでなく、高速道路でも充分なパワー感はある。

高負荷時に高まるエンジン音は、洗練度を落とすものの、力強く筆者は嫌いではなかった。6速MTを積極的に操ると、気持ち良くスピードを維持できる。シフトレバーは軽く倒せ、手のひらへ心地良い感触が伝わり、ハイライトの1つといえる。

ヒョンデ・バイヨン(英国仕様)
ヒョンデ・バイヨン(英国仕様)

乗り心地は想像より硬め。キビキビとした身のこなしで、小さなクロスオーバーを特徴付けようとしたのだろう。カーブへ突っ込むと、ボディロールを伴うものの、適度に抑えられている。敏捷性でいえば、Tクロスの方が上だが。

グリップ力はほどほど。連続したカーブを安定して駆け抜けられるが、ステアリングホイールへフィードバックは殆ど伝わってこない。切り始めの反応は、おっとり気味。そのかわり、パワーアシストの効き具合は丁度いい。

不快なほどではないものの、低速域では細かな揺れが続く。大きな窪みなどの衝撃も伝わってくるが、価格帯を考えると、乗り心地と操縦性のバランスは悪くないだろう。

燃費は、カタログ値で18.2km/L。非ハイブリッドとしては悪くなく、現実的な環境でも、この数字へ近づけることは難しくないようだ。

軽快に運転できるクロスオーバー

フェイスリフトを受けたバイヨンだが、ベースにある強みは変わらない。お手頃な価格で、実用的で、適度に快適。軽快に運転できるクロスオーバーといえる。

走り味も、SUVというよりハッチバックへ近い。市街地では扱いやすく、郊外の流れの速い区間では、実際にハッチバックのように運転できる。

ヒョンデ・バイヨン(英国仕様)
ヒョンデ・バイヨン(英国仕様)

ただし、1択しかないエンジンや少し安定しない運転支援システム、内装の素材など、及ばない部分があることも否めない。Tクロスなどの実力派が、このクラスをリードしているが、充分にキャッチアップすることは難しいかもしれない。

◯:不足なくパワフルな3気筒エンジン 明るく開放的で使いやすい車内空間 魅力的な6速MTでの走り
△:プラスティックが多い内装 狭めの後席 硬めの乗り心地

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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