17年作られた小さな「救世主」 フィアット500 UK中古車ガイド 魅力は最後までブレず!

公開 : 2025.01.08 19:05

21世紀のフィアットの救世主となった新生500 オリジナルの雰囲気を継承したスタイリング 複数から選べたエンジン 2015年のマイチェンで走りをアップデート 英編集部が魅力を振り返る

フィアットの救世主となった新生500

21世紀が始まった頃、フィアットは魅力に欠けるラインナップで、販売減少に悩んでいた。これを打開すべく当時のトップ、ルカ・デメオ氏は、ミニ復活へ携わったデザイナー、フランク・スティーブンソン氏へ接触。小型ハッチバックのデザインを依頼した。

果たして、復活を遂げた500(チンクエチェント)は救世主となった。2007年に発売され、2022年までに300万台以上を販売。その後、新たにデメオはルノーの指揮を取り、5(サンク)をバッテリーEVで復活させたのは、当然の流れかもしれない。

フィアット500(2007年〜/英国仕様)
フィアット500(2007年〜/英国仕様)

オリジナルの雰囲気を継承しつつ、500はカスタマイズ範囲の広さでもユーザーの心を掴んだ。発表当時、54万9000通り以上の組み合わせがあると主張されていた。ネットを検索すれば、ブルーやレッド、イエローなど、様々な色に塗られた中古車が見つかる。

当初、英国仕様のエントリーグレードだったのがポップ。集中ドアロックにパワーウインドウ、MP3対応ステレオなど装備も充実している。その上のポップスターでは、エアコンが追加される。

これから乗るなら、最上級のラウンジが望ましいだろう。アルミホイールとサンルーフ、分割可倒式のリアシートなどが装備される。

エンジンは複数存在。100psの1.4Lガソリンは、0-100km/h加速を10.3秒でこなした。最高出力は6000rpmで発揮されるため、活発に走るにはしっかり回す必要はあったが。1.2Lは、英国仕様で69ps。1.3Lのマルチジェット・ディーゼルターボもある。

マイチェンで走りをアプデ 特長は最後まで不変

英国仕様のトランスミッションは、心地良くギアを選べるマニュアルと、一般的なオートマティックの他に、SMGと呼ばれたセミ・オートマティックも選べた。ただし、後者の変速は少々ぎこちない。

2010年には、ツインエアと呼ばれた0.9Lの2気筒エンジンが追加。独特のビートを響かせながら、6000rpmまで軽快に回る。現実的な燃費は14.0km/L前後で、期待ほど高効率なわけではないけれど。

フィアット500(2007年〜/英国仕様)
フィアット500(2007年〜/英国仕様)

電動化技術を得たのは、2020年。1.0Lのマイルド・ハイブリッドが導入されている。燃費は普段使いで19.5km/Lを狙えるものの、年式が新しいだけに中古車価格はお高めだ。

モデル初期の500は、乗り心地や操縦性で同時期のミニに届いていなかった。しかし2015年のマイナーチェンジで、サスペンションをアップデート。大幅に改善している。

バンパーやヘッドライト、テールライト、フロントグリルなどの形状も僅かに変更。Uコネクトと呼ばれる、インフォテインメント用タッチモニターと、ソフト加工された内装も与えられた。

このマイナーチェンジで、0.9Lのツインエアは105psへ上昇。1.2Lは、ユーロ6規制に合致する環境性能を得てもいる。

20年近く生産されている500だが、基本的な特徴は最後まで変わらない。1950年代のオリジナルへ通じる、魅力を備えると表現してもいいだろう。多少の不満はあるかもしれないが、それも個性の1つだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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