17年作られた小さな「救世主」 フィアット500 UK中古車ガイド 魅力は最後までブレず!

公開 : 2025.01.08 19:05

新車時代のAUTOCARの評価は?

数か月前に英国でも発売された500は、数か月先まで売り切れ。スタイリングは特有の雰囲気を放ち、インテリアも抜かりなし。それを考えれば、人気は納得できる。しっかりとした作り込みの良さも感じられる。

ミニに並ぶ訴求力を維持するには、見た目だけでなく中身も重要。動的な能力は、注目を集めるデザインには届いていないだろう。実用性も高いとはいえない。それでも運転は面白く、オーナーの気持ちを満たす実力は充分にある。(2007年9月19日)

フィアット500(2007年〜/英国仕様)
フィアット500(2007年〜/英国仕様)

オーナーの意見を聞いてみる

クリス・エルストン氏

「500は、単なるクルマではありません。家族の一員です。魅力的で個性的で、ずっと前から欲しいと考えてきました。その願いを叶えることができたのは、2年前です」

フィアット500(2007年〜/英国仕様)
フィアット500(2007年〜/英国仕様)

「運転は楽しいですよ。目的地を決めずに、ドライブすることも多いです。わざわざ遠回りすることも。付けたあだ名は、フローレンスです」

「定期的な点検・整備意外に、高額な費用で悩んだことは今のところありません。信頼性は高いようですね。仮に故障しても、このクルマなしでは生きていけないので、修理を決めると思いますが」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

ラジエーター・クーラントのリザーバータンクが割れ、クーラントが漏れることがある。駐車時にクルマの下へ不自然なシミを見つけたら、早めに交換したい。

コイルパックは経年劣化で不調になる。費用は100ポンド(約2万円)もしないので、予防的に交換するのも悪くないだろう。

フィアット500(2007年〜/英国仕様)
フィアット500(2007年〜/英国仕様)

候補が決まったら、予めエンジンが冷えた状態から、少し長めに試乗してみたい。走行中にガソリンの匂いが車内へ漂う場合は、インジェクターシールの劣化が疑われる。

排気系統

排気マニフォールドと接続するフレキシパイプは、シール付近から錆びることが珍しくない。悪化すると割れてしまう。排気音が不自然にうるさくないか確かめたい。

マフラーパイプを固定するクランプも、腐食しがち。強度が落ち、部品を支えきれなくなることも。

トランスミッション

ディーゼルターボのMTの場合、2500-3000rpmの間でクラッチが異常振動することがある。クラッチのマスターシリンダーへつながる、パイプの劣化が原因という場合が多い。部品の交換で簡単に治る。

ボディ

ドアハンドルのヒンジが壊れやすい。ドアの内張りを剥がす作業となり、簡単には交換できない。

サスペンション

ブッシュは劣化する。交換にはバンパーを取り外す必要があり、作業料が膨らみがち。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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