この世界に必要なワゴン! ボルボV60 B4へ試乗 クラス最大級の荷室 2025年にも不満ナシ

公開 : 2024.12.23 19:05

新旧の丁度いいバランス クラス最大級の荷室

英国のディーラーへ再び並ぶことになったといっても、V60が新型というわけではない。2018年にモデルチェンジした、2代目ではある。かといって、それが残念なことだとは思わない。

近年のクルマは、モデルチェンジしても、必ずしもすべてが良くなるわけではない。V60には、ヘッドライトやラジオのボリュームなどに、実際に押せるボタンやダイヤルが残っている。タッチモニターも備わり、新旧の丁度良いバランスにある。

ボルボV60 B4ウルトラ(英国仕様)
ボルボV60 B4ウルトラ(英国仕様)

交通標識の読み取り機能は、ステアリングホイール上のボタンで、簡単にオン/オフを選べる。シートは大きくゆったりしていて、メーター用モニターの文字は読み取りやすい。現代的でありながら、すぐに馴染める。定番のスニーカーのようだ。

V60の大きさは、全長4761mm、全幅1850mm、全高1433mm。コンパクトではないが、上級モデルとして望ましいサイズ感だと思う。荷室はクラス最大級。後席の背もたれを起こした状態でも、奥行きは1020mmもある。容量は529Lだ。

その背もたれを畳めば、奥行きは1850mmに伸び、容量は1441Lへ広がる。床面には、荷物が転がるのを防ぐ仕切りが用意され、フックもある。床下には、スペアタイヤが入る空間もある。間仕切りのネットは、90ポンド(約1万8000円)のオプションだ。

走りは軽快 乗り心地は良好 2025年にも不満ナシ

英国仕様で選べるパワートレインは、2.0Lガソリンターボでマイルド・ハイブリッドのB4と、プラグイン・ハイブリッドのT6という2種類。今回の試乗車は、その前者だった。最高出力199psと、最大トルク30.4kg-mを発揮する。

トランスミッションは、7速デュアルクラッチ・オートマティックのみ。ステアリングホイール裏にパドルはなく、発進時のギアの選択は遅れ気味だが、走り出せば気にならない。走行中はエンジン音がほぼ聞こえず、車内は穏やかだ。

ボルボV60 B4ウルトラ(英国仕様)
ボルボV60 B4ウルトラ(英国仕様)

タイヤは19インチで、235/40というサイズだが、乗り心地は好ましい。車重は1734kgと、近年では軽い部類に入るため、相対的に走りは軽快。ちなみに、BMW i5より約700kgも軽量なことになる。

マイルドなハイブリッドで、燃費は14.0km/Lほど。驚くほどの数字ではないが、数年前のディーゼルターボのV60と同等。大きすぎず重すぎず、運転しやすく快適で、車内空間には余裕がある。2025年のファミリーカーとして、まったく不満はない。

ボルボのCEO、ジム・ローワン氏は、「MPVだけでなく、サルーンやステーションワゴンも弊社は提供しています。もちろん、SUVも。幅広いラインナップを擁し、有利なポジションにあるといえます」。と話している。

そう、彼が述べるラインナップには、落ち着いたV60とV90も含まれている。こんな控えめなステーションワゴンが、長く続くことを願っている。

ボルボV60 B4ウルトラ(英国仕様)のスペック

英国価格:4万8070ポンド(約937万円)
全長:4761mm
全幅:1850mm
全高:1433mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:7.6秒
燃費:14.5-15.9km/L
CO2排出量:158g/km
車両重量:1734kg
パワートレイン:直列4気筒1969cc ターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:199ps/4750-5250rpm
最大トルク:30.4kg-m/1500-4500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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