名車と振り返る「暗い過去」 今はなき英国の自動車メーカー 27選

公開 : 2024.12.14 18:05

デイムラー(Daimler)

かつては王侯貴族に自動車を納めていたデイムラーは、ドイツのダイムラー(「Daimler」の綴りは同じだが、日本では英語読みとドイツ語読みで区別している)から派生し、すぐに独自のラインナップを構築した。戦後の経営不振により衰退し、ジャガーに買収されたことで、同社のモデルは最終的にバッジエンジニアリング車となった。2010年に消滅した。

ジャガーは多くの市場でデイムラーの名称を使用する権利を保持しているが、復活の可能性はますます低くなっているようだ。

デイムラー(Daimler)
デイムラー(Daimler)

写真:デイムラーDS240

ドーソン・カー・カンパニー(Dawson Car Company)

ドーソンは、ヒルマンで働いていたAJ・ドーソン氏によって1918年に設立された。コヴェントリーに拠点を置き、11-12hpという1つのモデルのみを生産していたが、その性能の割には価格が高すぎた。モーリスやオースチンといった競合他社には規模で太刀打ちできず、わずか65台を出荷しただけで1921年に閉鎖された。その後、同社の資産はトライアンフが取得している。

ドーソン・カー・カンパニー(Dawson Car Company)
ドーソン・カー・カンパニー(Dawson Car Company)

ギルバーン(Gilbern)

事実上、ウェールズ地方唯一の自動車メーカーであり、キットカーメーカーであったギルバーン。1959年に精肉店の裏でGTの販売を開始したが、高額な価格設定、税金、そして度重なるオーナー変更により、ジェニーの発売後に閉鎖に追い込まれた。1973年に倒産した。

ギルバーン(Gilbern)
ギルバーン(Gilbern)

ヒルマン(Hillman)

大衆向けファミリーカーのメーカーとして成功を収めていたヒルマンは、1963年にリアエンジン車のインプを発売し、他社と一線を画した。しかし、政府の干渉により、グラスゴー近郊のリンウッドに新工場を建設して生産することになった。この新工場での生産開始に伴う混乱、信頼性の問題、ストライキにより、インプの販売は低迷。ヒルマンを所有するルーツ・グループは経営難に陥った。

クライスラーが1967年にルーツを買収し、ヒルマンブランドは1976年に消滅した。

ヒルマン(Hillman)
ヒルマン(Hillman)

写真:ヒルマン・インプ

ジェンセン(Jensen)

ジェンセン初のモデルは1935年に登場した。米国製エンジンを搭載した美しいGTが特徴で、1966年のインターセプターとFFで頂点を極めた。FFは、アウディに先駆けて常時四輪駆動システムとアンチロック・ブレーキ・システムを組み合わせた技術的傑作である。

1976年に経営難に陥り、2001年に復活してS-V8と呼ばれる新型車を発表した。しかし、わずか40台ほどを生産しただけで再び閉鎖された。

ジェンセン(Jensen)
ジェンセン(Jensen)

写真:ジェンセンFF

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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