【まるで50:50のFRマシン】マクラーレン・アルトゥーラ・スパイダーを全開にしてわかった高次元の走行性!

公開 : 2024.12.11 11:45

プラグインハイブリッドシステムを有するオープンスポーツ、『マクラーレン・アルトゥーラ・スパイダー』。その高性能を存分に発揮できる富士スピードウェイで試乗した印象を、西川昇吾がレポートします。

ドライバーの楽しみを多く残すメカニズム

2024年2月に発表された『マクラーレンアルトゥーラ・スパイダー』。2021年に登場しているクーペモデルとメカニズム的に大きな違いはないが、それでもアルトゥーラは『先進的』と表現するに相応しいスポーツモデルだ。当然、最も体現しているメカニズムがプラグインハイブリッドシステムである。外部充電が可能なバッテリーが搭載されており、モーターのみで33kmを走行することが可能となっている。

近年、このようなEVモードを持つスーパースポーツは他にも存在するが、アルトゥーラで驚かされるのはその軽さだ。今回試乗した電動ルーフを持つアルトゥーラ・スパイダーですら車重は1570kgとなっている。1700kgを超えるスーパースポーツも増えてきている中、電動ルーフを持つプラグインハイブリッドでありながらこの車重を実現しているのは、これも先進的と呼べるポイントだ。

マクラーレン・トラックデイ・ジャパン2024で、マクラーレン・アルトゥーラ・スパイダーに試乗。
マクラーレン・トラックデイ・ジャパン2024で、マクラーレン・アルトゥーラ・スパイダーに試乗。    マクラーレン

アルトゥーラたちがこれほど軽量な重量を実現できたのは、新たに開発され最適化されたメカニズムの恩恵が大きい。88kgのバッテリーに15.4kgのモーター、そして従来のV8ツインターボよりも軽量なV6ツインターボで構成される、システム出力700psを発生するパワートレイン。それにカーボンとアルミニウムを組み合わせた新世代アーキテクチャを採用しているからだ

そんなアルトゥーラだが、モーターを有する昨今のスーパースポーツの多くが4WDを採用しているのに対し、こちらは2WD、つまりMRのまま。最新技術を存分に採用しながらも2WDとなっているあたり、絶対的な速さだけでなく運転を楽しむ部分をしっかりと残していく決意を感じる。

オープンボディとは思えない密閉感

今回試乗の機会を得たのは富士スピードウェイで開催された『マクラーレン・トラックデイ・ジャパン2024』で、そのスポーツ走行にアルトゥーラ・スパイダーで出走させていただいたのだ。

コクピットに乗り込み、始動をしてピットレーンの隊列へと並ぶ。始動直後はEV優先の『Eモード』となっていて、『周辺環境を考えて静かに家を後にしたい』という需要を考えると、最適なデフォルトのモード設定だと感じる。また、Eモードで移動すると驚きの発見があった。それは外からの音が小さいことだ。今回はサーキット走行ということもありルーフを閉じた状態での走行だったのだが、オープンボディであることを忘れるくらいの静粛性であった。

試乗担当は若手モータージャーナリスト、西川昇吾。レーシング装備が偶然にもボディカラーとマッチ。
試乗担当は若手モータージャーナリスト、西川昇吾。レーシング装備が偶然にもボディカラーとマッチ。    平井大介

そしてモードを『スポーツ』へと変更すると、エンジンが目を覚ます。コースへ合流して速度を上げていくと、再び静粛性の高さに驚かされた。エンジンサウンドなどドライビングに必要な音は聞こえてくるが、走行風の小ささは密閉度の高いクーペボディのようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    西川昇吾

    1997年、富士スピードウェイのほど近くに生まれる。必然的に、モータースポーツとともに幼少期を過ごす。当時愛読した自動車雑誌の記憶に突き動かされ、大学時代から自動車ライターとして活動を開始。卒業後、動画系の自動車媒体に所属したのちフリーとして独立。地元の地の利を生かし、愛車のNBロードスターでのサーキット走行や、多彩なカテゴリーでのレース参戦を積極的にこなす、血気盛んな若手モータージャーナリスト。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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