トヨタ・ランドクルーザー(250)へ英国試乗 「オンロード」マナー向上 走れない場所ほぼナシ!

公開 : 2024.12.22 19:05

走れない場所はほぼナシ 軽く正確な操舵感

さて、ランドクルーザーで原野に飛び込んでみよう。四輪駆動をローレンジにし、マッド・モードを選ぶと、悪路でのクルーズコントロール、クロールコントロールを利用できる。1km/h単位で最大6km/hまで、一定の速度を保ってくれる。

この状態にすれば、走れない場所は殆どない。急な勾配でも深い水たまりでも、ステアリングホイールを必要なだけ回せばOK。凹凸が連続するような場面では、イネオス・グレナディアより安楽。走破性は、ランドローバーディフェンダーと肩を並べる。

トヨタ・ランドクルーザー・インヴィンシブル(英国仕様)
トヨタ・ランドクルーザー・インヴィンシブル(英国仕様)

ボディと地面が接する角度は、フロントのアプローチが31度、リアのデパーチャーは23度。最低地上高は215mmで、最大牽引重量は3500kgがうたわれる。

オンロードでの印象は、ランドクルーザーに対する考え方次第。2755ccの4気筒ターボディーゼルにラダーフレーム構造だから、ディフェンダーやディスカバリーに匹敵する上質さはない。BMW X5との差は大きい。

それでも従来より優れ、オフローダーとしては充分滑らか。エンジンはたくましく、高域まで引っ張ると振動が伝わってくるものの、静かに回る。信頼性は確かなはずで、頼もしさを伴う。

ステアリングは、プラドより軽く正確でダイレクト。運転席からの見晴らしは良く、狭い裏路地でも想像以上に運転しやすい。

オールテレーン・タイヤでも、グリップ力は充分。スポーツSUVとは違うから、きついカーブではボディロールが小さくない。ステアリングホイールの裏に、シフトパドルは付いているが。

高めの速度域で改善する乗り心地 定評の能力

乗り心地は、傷んだ舗装路では揺れが目立つ。しかし、速度抑止用のスピードバンプは、気に留める必要もない。速度が上昇すると、滑らかさが出てくる。

シートは座り心地が良く、サポート性も高く、長距離での疲労を抑えてくれる。高速道路での風切り音や転がり音は、グレナディアより小さい反面、ディフェンダーより大きい。

トヨタ・ランドクルーザー・インヴィンシブル(英国仕様)
トヨタ・ランドクルーザー・インヴィンシブル(英国仕様)

燃費は、複合的な条件での平均が11.3km/Lだった。同等のディフェンダーより、0.4km/Lほど良い。車重は2330kg以上あり、タイヤの減りは相応に早いはず。

今回試乗した、ランドクルーザー・インヴィンシブルの英国価格は、7万4995ポンド(約1462万円)から。パッケージングは悪くないが、英国ではディフェンダーより僅かに高い設定となる。

高級なスーパーマーケットから、荒野のアドベンチャーまで、難なくこなすランドクルーザー。トヨタだから、相当な奥地へ向かっても、ライバルより完走率は高いに違いない。ここまでの能力が本当に必要な人は、限られることも事実だが。

特徴的な見た目や、従来より遥かに有能なインフォテインメント・システムへ、惹かれる人は多いはず。パワートレインの洗練度はほどほどでも、定評の能力に揺るぎはない。

一層の高級感や上質さを求めるなら、ディフェンダーの方が望ましい。だが、ランドクルーザーは英国編集部オシの1台。初回限定仕様が完売したことにも、うなずける。

◯:シャープでスクエアなスタイリング 圧倒的な悪路性能 大幅に上昇した舗装路でのマナー 見た目の良いインテリア 現代モデルに相応しいデジタル技術
△:モノコックボディの6気筒モデルに洗練性では届かない 少し割高 強めの揺れを伴う乗り心地

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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